連載小説

□【Act.1】
2ページ/2ページ


「アリス どうしたんですか?元気がありませんね…」

「お前が原因だろう ホワイト」

「僕が!?ああそうか…僕が仕事ばかりであまり構ってやれないから『違うわよ』



こいつはどれだけおめでたい頭をしてるんだろう。
真剣に考えるだけ無駄か、とアリスは考えるのをやめた。



「ただ…友人いればなって思っただけよ」

「わらわは友人ではないと申すのか」

「そんなことないわ。そういう意味じゃなくて…」



ビバルディはいい友人だと思っている。むしろ友人には勿体ないくらいだ。
使用人の首をはねること以外はだが。



「…それは余所者の友人ということですか?」

「え…?」

「同じ境遇の友人がほしい…そういうことですね アリス!」



ガシッとアリスの両手を握りしめ、アリスを見つめるペーター。



余所者の友人…?

(考えたことがなかったわ…)



アリスはまだ見ぬその友人とこの世界について話し合っている光景を思い浮かべた。



「…そうね。そんな人がいたら楽しいかもしれないわね」



現実にはありえないけれど、と心の中で付け足す。



「…わかりましたアリス。貴方が望むのなら…」

「え?」



ペーターはアリスの手を解放し、にこりと笑った。



「少しの間 城を留守にしますが、待っていてくださいね!愛していますよ アリス!」



そう言い残し、去っていくペーター。
アリスとビバルディは唖然とその背中を眺めていた。



「な、何なの…?」

「あやつ…仕事をほったらかしてどこに行くつもりじゃ」

「…さぁ」



アリス的にはペーターがしばらく城にいない、というだけで万々歳なのだが…

ペーターは一体何を思いたったのか…
アリスはふ、とある考えが浮かんだが、頭をふってその考えを消した。

考えすぎよね、と自分に言い聞かせ アリスは再び紅茶を口に運んだ。





全ては彼女中心に


(もう一人の余所者…なんて、ありえないわ)
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ