0×ナイフ
□禍福の仔
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―相馬君…僕は、君を…。
空海
ある晴れた日、俺と唯世は電車に揺られていた。
「唯世、身体、大丈夫か?なんかあったらすぐに俺に言えよ?」
「うん。大丈夫だよ。」
「ねぇ、相馬君。」
「あん?」
「相馬君は、女の人を…すっ、好きになった事ある?」
「なんだよ?いきなり。」
「うん…実は、ついこの前…。」
―「そんで、お前は、そいつに惚れたってわけか?」
唯世はコクりと頷く。
「いいねぇ。若いって…。」
「…で、なんで、二階堂まで来てるわけ!」
「僕は、保護者代理。子供だけで長旅はさせられないからねぇ。」
「俺は、子供じゃねぇ!」
「でも、彼は、12歳。君は、18歳だけど、外見は、中学生じゃないかい?僕から見たら十分子供だよ。」
「うっ…。そりゃそうだけど…。」
「僕の勝ち。」
「うるせぇ!」
「ねぇ、電車の中だから、静かにしてようよ?」
唯世に言われて初めて、ほかの乗客が白い目で見ていることに気づいた…。
俺たち3人は、このまま、終着駅まで乗り、昼食を取って、別の電車に乗り、その電車の終着駅である無人駅で降りた。
「どこなんだよ!ここは!」
・
「僕たちの目的地。」
「それはわかってるよ!本当にここにアイツがいるのか!?」
「うん。僕がここに来て直に会ったんだ。間違いなくここにいるよ。」
「相馬君、二階堂さん、アイツって?」
「二階堂…先生?」
道の途中で顔や服が土ぼこりで汚し、子供を連れたそいつとバッタリ会った。
「なんで、いるの?」
「しょうがないだろう?君が携帯持ってないから!」
「前も言ったじゃん。必要ないって。今日は何しに…空海?」