BOOK
□2・14
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蛮ちゃんはオレの首筋に顔を埋めたまま、黙り込んでしまう。
おかしいな…普段ならオレが何言ってもお構いナシ、って感じなのに…
いつもと違う空気に不安を覚えたオレは、
「…蛮ちゃん?」
声を掛けた。すると、
「…がいいんだよ、お前は…」
小さく呟く声が聞こえてきた。
「?蛮ちゃん?聞こえない…もう一回言って…?」
尋ねると、蛮ちゃんは急に顔を上げ、
「俺のどこがいいんだよ、お前は…っ!本当は女と普通の恋愛してぇんじゃねーのかっ…!?って聞いてんだよ…っ!!」
と声を荒げて尋ねてきた。
見たことのない蛮ちゃんの、どこか切羽詰まったような表情―
…ああ、蛮ちゃんはチョコの数妬んでたんじゃないんだ。
オレが女の子に本命?チョコ貰ったのが、嫌だったんだ―
そっか…オレも蛮ちゃんが女の子に本命チョコ貰ってたら嫌だもんな…
でも…
「何、笑ってンだよ…。」
「え!?あ…ホントだ。」
「殴られたいのか?人が真剣な時に―」
「だって。嬉しいんだもん。」
「ぁあ!?」
「同じように、嫌な気持ちになるのかなぁ…って思ったら。女の子にヤキモチ妬いて。」
「同じ、…?」
「うん。オレだって嫌だよ、蛮ちゃんが可愛い女の子とか、好きになっちゃったらって…考えたら。」
そう言うと、オレを見つめる紫の瞳が少し揺れて、濃い色になったように感じた。
そして次の瞬間、さっきとは違う、噛みつくような乱暴な口づけをされた。何度も何度も違う角度で、舌を絡め取られる。息をするのも許さないように―
「っはぁ…ぁっ…!」
やっと解放されて目を開くと、蛮ちゃんの濃い紫の瞳と、妖しく濡れた薄い唇が見えて、鼓動が早くなる。
「俺は優しくねぇぜ?お前はいいのかよ、それで。」
「オレは蛮ちゃんがいいんだよ…。」
今度はオレからキスをする。
蛮ちゃんみたいに上手くできないけど、舌先で唇を舐めたり、いっぱいに舌を伸ばして口内に侵入したりする。
蛮ちゃんはそんなオレのキスに応えながら、オレの着ているモコモコセーターの中に手を入れてくる。
その手は脇腹辺りを優しく撫上げ、ゆっくりと胸の方まで上り、自分でも恥ずかしいくらい立ち上がった乳首を摘まむ。
「あっ…!気持ち、…ぃっ!」
「こーんなコリコリだもんなぁ…?やーらし、銀次。」
「…っ!だって…ぁあ!」