Dear you 〜大切な君へ〜

□act.41 二人の魔王
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「はぁ、はぁ・・・うっ・・・・!」


ソファの上に寝かされている優烏は苦しそうな声を出す。
その横には優烏の看病をする仁。
苦しそうに眠っている妹を見つめる彼の表情はとても険しい。
そして、ゆっくりと立ち上がったかと思えば険しい表情のまま仁は大に近付いて来た。


















「大門大・・・・」


仁の瞳にははっきりと怒りの色が浮かんでいる。
大の胸倉を強く掴み仁は容赦なく怒りを露わにした。




「君は僕の妹を、優烏を殺す気か!?」

「そ、そんなつもりは・・・!」

「無いと言えるかい?憎しみに囚われ、力を暴走させた君が・・・」


仁の言葉に大は黙り込んだ。
胸元を掴んでいない手で拳を握ると思いっきり大の頬を殴った。











バキッ


容赦のない仁の一撃で大の体はよろめいた。
だが、体に受けた痛みよりも心に受けた痛みの方が強かった。



「大・・・・!」

「大兄ちゃん・・・ッ!」


殴られた大に淑乃と知香が駆け寄る。
大は殴られた頬を押さえて仁を見据えた。




「初めて君に会った時、あの人と同じものを僕は感じた。
だけど、それは大きな間違いだったようだね。
君には失望したよ、がっかりだ・・・・」


大を見る仁の視線は鋭く冷たい。
仁の言葉に返す答えが見付からず大は唇を噛み締めて黙っているしか出来ない。



「あれだけ、肉体に負担を掛けたんだ。
恐らく、優烏は暫くの間戦う事は出来ないだろう・・・・」

「そんな、優烏ちゃんが戦えないなんて・・・」


仁の言葉に淑乃は絶望的な声を上げた。
トーマは寝返り、大は戦うどころか戦力外になっている。
そして、優烏は力の使い過ぎによって戦線を離脱せざる得ない状態だ。
現時点で戦えるのは自分とイクト、そしてオペレーターの美樹と恵達だけ。







「僕と、ルーチェモンが居る。戦力を補う事は可能だろう」



不利な状況に困り果てた淑乃に仁は言う。
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