Dear you 〜大切な君へ〜

□act.40 暴走する力、暗黒進化の悲劇!
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「テメェだけは絶対に許さねぇ!!」


大の全身を不吉な輝きの黒いデジソウルが覆う。
トーマも予想していなかった出来事に驚くだけだ。
ミラージュガオガモンはトーマの近くに降り立つと大の出方を窺う。
すると、その時海の中から激しい水飛沫を上げシャイングレイモンが姿を現す。
だが、シャイングレイモンの様子が何処かおかしい。





ぐぁぁぁぁぁっ!





もがき苦しむような声を上げるとシャイングレイモンの体を不吉な光が覆った。
大はそんな様子のパートナーを気にも留めずトーマをただただ睨み付ける。
今の大を支配しているのはトーマに対する強い怒りと憎しみだけなのだ。
その感情に呼応するように不吉な光の中から変貌を遂げたシャイングレイモンが姿を見せた。



「な、何だ?あの姿は・・・」


漆黒の炎のような翼を持ち、禍々しさを感じさせるシャイングレイモン。
凄まじい雄叫びを上げたかと思えば容赦なくミラージュガオガモンに襲い掛かる。










ドコォッ



翼と同じ炎を纏う拳でミラージュガオガモンを殴り付けるシャイングレイモン。
先ほどまでの攻撃とは桁違いの破壊力だ。
そして、攻撃の余波は地下アジトにも届き振動で激しく全体が揺れた。












「・・・・・うっ」


激しい振動で優烏は目を覚ます。
だるい体に力を入れて何とか上体を起こした。



「優烏!気が付いたの?」



パタモンの声を聞き小百合や知香は一斉に此方へ振り返る。
二人は心配そうに見てくるが優烏はよろよろと起き上がり地上へ向かおうとした。



「駄目だよ、優烏!そんな体じゃ!」

「・・・だい、じょうぶ。私は大丈夫だから・・・・」



ボロボロである事が一目で分かるほど、優烏は疲弊していた。
力の入らない体を無理矢理動かし、階段を登っていく。



「あたしも行く!!」


知香はそう言うと優烏の元へ駆け寄り小さな体で優烏を何とか支えようとした。



「ち、知香ちゃん・・・!」

「優烏ちゃん、ボロボロなんだから!あたしも一緒に行く!」


有無を言わさない知香の言葉。
知香なりの気遣いに優烏は胸が温かくなるのを感じた。
そして、知香に手助けをして貰いながら激闘が繰り広げられる地上へと踏み出した。
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