闇鍋物語6

□分かたれた道の再度の交錯
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・・・フーブラス河で妙な空気になったことを自身で理解していたルーク。すず達が焚き火の材料を持ってきて焚き火を始めた時も、気分を損ねているように振る舞いながら後ろを向いたまま過ごしていた。それで服も乾き休憩も終わったということで出発しようと切り出してきたジュディス達にルークも仕方ないと振り返って立ち上がり、その場を後にしていった。






(さて、どうしようってかどうなるのかな・・・カイツールまで行ったら師匠に会えるんだろうけど、この状況で師匠とバチカルに帰るってなったらどうなるんだろう・・・)
それでフーブラス河を抜けてカイツールに向かう一行だが、ルークはその中で考えていた。以前は敬愛する師と会えて喜んでいたが、今の状態となっては複雑極まりないカイツールでの再会について。
(・・・俺からしたら出来たら師匠にはカイツールに残っていて欲しいんだよな、ティア達って旅券持ってないしガイとも会ってないからそこのとこ考えるとな・・・でも今の俺だと師匠と一緒に帰りたいってごねないと不自然だし・・・まぁそこは師匠もティア達の事をさりげに話題に出せばなんとかなると思うからさりげに誘導するか、行き当たりばったりな感じなのはなんとも言いようがないけどな・・・ただ今思うとルミナシアの師匠はなんつーかアンバランスって言えばいいのか、変な感じだったよな・・・こっちの師匠と違ってなんか踏ん切りがついてないっていうか・・・)
少し考え、出した結論は流れに合わせてティア達の事を告げる。そう考えたことに苦笑気味に心中で笑ったが、ふと同時にルミナシアのヴァンの事について思い出す。



・・・ルークはルミナシアでのヴァンの事を初めは警戒気味に見ていた。世界が違い預言という物がない事だが、前とは違うと分かっていても自分を利用した上で外核大地を落とし人を全て殺そうとしたこの世界での事があったために。
しかし長い間ルミナシアのヴァンを見てきてルークが出した結論はよく分からない、の一言だった。よく見れば何かに憂いているような様子はチラホラと見えていてオールドラントの時のように動き出すのかと思いきや、アドリビトム内でディセンダーを始めとした面々と接するその姿の中に何か感じている姿に危険な物をルークにはあまり感じられなかったのだ。強いて言うなら迷っている、と言った表現がルークがヴァンに対して持った印象としては近いのだがだからこそ分からなかった。ヴァンがどちらに転ぶのかという事が・・・



(あっちの師匠があぁだったのってルミナシアに預言がなかったからってのが大きかったんだろうな・・・ただ何か心の内に秘めてるってのは見てて分かったから用心はしてたけど・・・やめよう、もう俺は向こうには行けないんだ。師匠が何かを起こしてもアッシュ達にアドリビトムの皆がいるから大丈夫だって、そう思うことにしないと・・・)
そんなルークだから思うのはルミナシアのヴァンの行動の行方だが、それを思うと気が重くなると考えをプラスの方に無理に移行する。自分がいなくなった今、向こうのヴァンと対する事は出来ないからと・・・















・・・そのようにルークが重い気持ちを抱える中、一行はカイツールへと辿り着いた。



「あ〜・・・ここが国境のカイツールって所か?」
「えぇ、そうよ・・・はい、これ」
「ん・・・なんだよ、これ?(ちょっ、これって・・・!)」
国境の入口に到着して初めて来たと興味深そうに辺りを見渡すルークだが、肯定がジュディスから返ってくると共に手渡された物に訳が分からないと首を傾げるが内心で驚愕していた。
「それは国境を通るのに必要な旅券よ。これがないとキムラスカとマルクトの領地を行き来出来ないから持っていてね」
「ふ〜ん・・・(いやいやいや!旅券を持ってるのはある意味正しくはあるんだろうけど、まさかこんな形ですんなりと国境越えることになんのか!?ちょっと師匠に会わなきゃなんないからそれは勘弁してほしいんだけど・・・!)」
ジュディスが微笑みながら手渡した物・・・旅券の存在に説明を受け納得するルークだったが、内心で絶叫していた。これはまずいと。









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