闇鍋物語5

□双子の片割れと三人の聖闘士の介入
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「・・・しかしまた、何故このような組み合わせなんだ?」
ただふとカノンの脳裏にこの共通点の薄い3人が何故来たのかと疑問に思い、3人に問い掛ける。
「あぁ?・・・まぁ仕方ねぇだろ。異世界かどうかなんて関係無くシャカはハナから周りとうまくやれるような奴じゃねーし、そもそもこの世界に慣れてるのなんざここで暮らしてたあんた以外にいねーんだからな。そう考えると異世界にでも環境適応力のあるやつか、異世界でも冷静に状況判断が出来るやつが欲しい・・・ってな訳でまず俺とカミュが選ばれたんだよ」
「そこに後1人、私とデスマスクの他に誰か付けるかどうかという話になったのだがそこでアイオロスが立候補したんだ」
「まぁ聖域も落ち着いてきたし、俺はカノンに興味もあったから行きたいと願ったんだけどな・・・とはいっても物見遊山のつもりでここにいる訳じゃない、任じられたからには力の限り協力させてもらうぞ。カノン」
「・・・あぁ、よろしく頼む」
その問いにデスマスクからカミュ、最後にアイオロスとその時の経緯を話していき最後に力強い包み込むような笑みを見せられカノンも少し自身の過去に思うところはあったが微笑を持って返す。



・・・カノンはこの組み合わせを謎に思っていたがデスマスク達の説明通り、意外にこのメンツはバランスが取れた3人だった。
デスマスクは普段こそ不遜な物言いだったり言葉遣いなどには頓着もせずお世辞にも礼儀正しい男とは言えなかったが、ポーズを取るべき場面ではそのポーズを完璧に取ったり状況を見て取って動ける頭の回転の早さにかけては黄金聖闘士の中でも高く、不意な事態に対する環境適応力は随一と言えた。
カミュは自身が戦いにおける理念として掲げているよう、常にクールであるようにと考えている。そんな彼の冷静な判断力を期待し異世界でも発揮してもらおうと言うのは確かに妥当と言えた。
アイオロスは十三年前には見せなかったフランクさを見せてこそいるものの、元々教皇として選ばれる程の人物でありその人格及び能力には問題はない。ましてやそんな人物が自ら志願したのだ、無下に断るものがいるはずもないだろう。
そしてそんなデスマスクとカミュにアイオロスはさして目立って交流があるわけでもないが、取り立てて嫌いあっているような間柄でもない・・・そう考えれば別に人間関係で問題のある配置とは言えなかった。
・・・尚これは余談だがここで名前こそデスマスクからシャカしか出なかったが、もう1人ここに来たらまずいと言える人物がいた。それはカノンの兄であるサガ、である。ただこちらは行動であったり発言が問題になるのではない、それは今は歳の差が出ているとはいえ明らかにカノンとの血の繋がりを否定出来ないその容姿にあった。
サガが来ればほぼ確実にルークもだが、ファブレに関係する人間はカノンとの繋がりに気付く・・・あくまで今回ファブレとルークに義理立てしているカノンに対しての助力で動くとなっている黄金聖闘士からしてみれば、サガが動くことは望ましい事ではなかった。カノンが下手に探りを入れられないようファブレ内で肉親の存在は無いものとしていたために。
故にこのオールドラントに実は一番来たがっていたサガは来ようにも来れなかったのだ、カノンの為にも・・・



「・・・むっ」
「ん?どうしたんだよ、カノン?」
・・・そんな微笑を見せていたカノンだったが、唐突に厳めしくも眉を寄せる。その姿にデスマスクが何事かを問うが、構わずカノンは方角にして北東の方を見る。
「・・・今僅かにルークの小宇宙を感じた、それも人の足では無理な早さで急速にあの方角に行っている・・・まずい、あちらはマルクトだ。ローテルロー橋を渡ればそれこそ国境を越えたと面倒事になる・・・」
「人の足では無理な早さとは?」
「おそらく辻馬車、まぁとにかくこちらでの馬車と思えばいい。それに何かの偶然で乗って何かの間違いでマルクト行きのに乗ったのだろう。そして間違って乗ったとなればおそらく位置的にタタル渓谷から乗ったのだろう・・・まずは無事でよかったと思いたいが、まだ襲撃犯の事もある。急いで追いかけるから後を付いてきてくれ、流石に辻馬車が走ってる所を止めれば俺達が怪しまれるが何が起きるかわからん。遠巻きに様子を見ながら行くぞ」
「わかった!」
そこでルークの小宇宙を感じたと言いながらも周りのデスマスク達にその状況がいかような物なのかを正確に報告していくカノンは、一先ず遠巻きに追い掛けるよう言って走り出しアイオロスが力強く頷いた後3人もその後を追って走り出す。








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