闇鍋物語5

□双子の片割れと三人の聖闘士の介入
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・・・ケセドニアに辿り着き、キムラスカの領事館にてルークがこの街に来ていない事を確認したカノン。そうし終えたカノンはまだタタル渓谷にいるか間違えてマルクトの本土にローテルロー橋を越えて渡ったのかとの可能性を考え、ケセドニアの北側入口からルーク捜索に出立していた。ケセドニアに来るまではいなかった、複数の存在と共に・・・






「やっぱあんた、サガとは違うな」
「・・・いきなりなんだデスマスク」
・・・夜になってケセドニアから出たカノンの後ろに付いていた男・・・デスマスクのニヤニヤしながらの声を受け、カノンは立ち止まり振り返る。そこにはデスマスクを含めた三人の男の姿があった。
「確かにデスマスクの言う通りだな。立ち居振舞いからしてサガと違うが、何より違うのが柔軟性だ。サガは人を率いるのに慣れていたが、貴方は自分で動く事に慣れている。先程のケセドニアでルークという者を見つける為に起こした縦横無尽な行動・・・サガではあれほどなりふり構わず動けないだろう」
「・・・誉めているのかどうなのか、イマイチわからんことを言うな。カミュ」
「そうか?私は誉めているつもりだが」
「・・・ふぅ」
そこに冷静に分析をするような口調でサガとカノンの違いを述べるカミュ。だが熱のないその口調にカノンが微妙な表情になるが、素の真顔で返すカミュにタメ息をつく。
「まぁそんなことを言うな、カミュ!サガの弟ならある程度砕けていた方がバランスが取れていていいじゃないか!」
「・・・遠目で何回か見るくらいでしかお前の事は知らなかったが、お前そんな砕けた性格だったのか?・・・アイオロス」
「ははは!細かいことは気にするなカノン!」
そんなやり取りに仁智勇を兼ね備え次期教皇に任命された男と思えない程フランクに笑いながらカミュの肩を抱くアイオロスに、カノンは偽者かと疑うような視線を送る。









・・・この三人が今現在カノンと共にこのオールドラントにいるのには、ケセドニアに入る前にムウから小宇宙を介したテレパシーを送ってきた時にまで遡る。
そのムウが言うには星矢達がハーデスを倒した後にアテナがハーデスともう二度と地上を滅ぼそうとしない事を条件とした上で互いに不可侵の盟約を結び、その過程の上で黄金聖闘士全員の復活をハーデスにさせてムウ達が生き返ったとのこと。だがその時になって冥界のどこをどう探してもカノンの魂だけは見つからず、そこでカノンはどこかで生きているのではとの仮説が立った。
そんな中でカノンと共に自爆したラダマンティスもハーデスの兵力を戻すためにと生き返り、カノンは生きているはずはないと今も冥界の中を探しているが、カノンの生存を信じる聖闘士達は地上を含め異次元の中にまでも捜索の手を広めた。
・・・ただそれでも、カノンの存在を見つけるには至らなかった。そんな状態が続いたことにカノンは肉体のみならず、魂までも飛散して消えてしまったのでは・・・そんな考えが聖闘士の中で浮かび出していた。
だがそんな時異次元の壁の更に向こうにて、異次元の中に意識を傾けていたムウが僅かながらにカノンのテレポーテーションの時に高められた小宇宙を捉えた。そこでムウがテレパシーを試みた結果、それがカノンだった訳である。
それでムウはカノンが見つかったことにより早速自らの力で地球に戻そうとしたのだが、カノンはそれを断った・・・カノンからすれば今ここでルークをほっぽりだして地球に帰るなど到底出来ることではなかった、自らの責任にしても個人的な感情においてもだ。
故にカノンは自らの身の上を説明した上でいずれ地球に戻るようにするとムウに伝えたのだが、そのテレパシーでの会話を聞いていたアテナが加わったことによりまた話の流れは一変した。
・・・そのアテナが言うには要約すると冥界との盟約を結んでから聖域も落ち着きを見せ、黄金聖闘士も時間を取れるようになったから冥界の活躍の礼にとカノンの手伝いに何人かつけると言うものだった。
始めはそのアテナの厚意をカノンは固辞した、自分の個人的な事に黄金聖闘士を巻き込む訳にはいかないと思ったのに加え聖闘士の力を地上を守るためにではなく使う事をどうかと思った為に。だがそれならとアテナがオールドラントでは聖衣を身に付けず、聖闘士としてでなく一個人としてカノンに協力すればいいと言った事で結局カノンが折れることになった・・・この辺りは最近まで何も知らない人間として生き、かつグラード財団の総帥として城戸沙織として活動してきたアテナの人間としての強かさがあった。











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