Tシャツから剥き出しの陽に焼けた腕が余計に痛々しかった。
「ほい、おわり」
「さーんきゅ」
「さすがに自分で包帯は巻けないのねー」
「さすがにねー」
肘に巻かれた包帯をサラっと撫でて、元マネが居て助かったー、と、浜田は笑う。
あーなんか着るもんねーかなー、あいつらコレ見たらヒソーな顔しちゃうからなー、特にキャプテン、と、浜田は笑う。
「たかが体育の授業にハリキリすぎ」
「オトコには負けらんねー時ってのがあるんですー」
浜田は笑う。
屋上で。
Tシャツにジーンズで。
気持ちいい風に吹かれて。
誰よりも自由そうで。
「で?勝ちましたか?」
「ったりまえじゃん!おめー俺の何を見てきたんだっつの」
でも誰よりも不自由そうに、笑う。
「帰るときもっかい湿布したほうがいいよ」
「んー。」
ごうっといきなりの突風に吹かれて、浜田の顔が見えなくなって、
あたしは不安になる。
天使になりたい
(せめて)
(この人がいつまでも)
(勝ち続けられるように)