天上界生活模様

□双子神のその後
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「戦争がとうとう終わったな……」

バレストールはどこか遠い目をしつつ呟いた。その傍らにはフロリアンヌが立っている。

「御兄様、……」

「何も言うなフロリアンヌ。今回は俺がすべて悪かったんだ」

バレストールは目を伏せた。

「俺が自分の事しか考えずに暴走して皆に迷惑をかけた。……それだけのことだ」

バレストールは肩を落とし地面を見つめる。
後悔しか今は感じない……。


「御兄様、あの」

「フロリアンヌ、もう何も言うな。頼むから……謝まらないでくれ……」

バレストールはますます肩を落とした。
今は何を言われても苦しいとバレストール本人が一番分かっていた。


「御兄様、ですから」

「何も言うな!」

直も何か言おうとするフロリアンヌをバレストールは声を荒げて遮った。

「ウォワァ!!!!」

次の瞬間、バレストールは訳の分からない悲鳴をあげた。

太ももに激しい痛みが走ったのだ。
見ると大きな野犬がバレストールの足に噛みついていた。

「なんだお前は!離れろ!」

バレストールが足をブンブン振ると野犬は何とか足から離れた。

「くっそ〜、痛ってー!」

バレストールは太ももの辺りに手を当てて座りこんだ。
下は土。
二神は地上界に来ているのだ。

「御兄様、大丈夫ですか?」

慌ててフロリアンヌがバレストールに駆け寄る。

「あの犬はさっきから御兄様の事を狙っていたんですよ?」

フロリアンヌが言った言葉にバレストールはギョッとなった。

「気づいていたならなぜ言わなかったんだ!?」

痛みと先程までの後悔が混ざってバレストールは怒鳴った。

「言おうとしましたわ!でも御兄様が何も言うなとおっしゃったから何も言えなくなってしまったんです」

その言葉にバレストールが怒鳴る。

「ああ分かってるよ!俺が悪いんだ。だからこそ腹がたつんだ」

そう叫んでバレストールは自分の頭を抱えて、唸った。
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