天上界生活模様
□限界のその先に……
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「痛い……」
生と死と破滅を司る神イゼルはボソリと呟いた。そして持っていたペンを床に投げ手をブンブン振り回した。
「手が痛いよ!もうやだ!」
しかし執務室の中を忙しく動き回る死の精霊はそんなイゼルの叫びを黙殺する。
そして、
ドサッ。
イゼルの前に大量の書類が置かれた。
「…………」
書類を置いた死の精霊はすぐに違う仕事に取りかかる。
イゼルの執務室は書類で溢れていた。
地上界は今、戦争の真っ只中なので毎日あり得ない数の未裁可書類が出来上がる。
イゼルが少しでも休めば執務室はあっという間に書類で埋めつくされてしまう。
しかしイゼルは限界だった。
もうどれぐらい執務室で書類を読んでいるのか分からなかったし、何回サインしたかも分からない。
手にはペンダコが出来てしかもそれが赤くなっている。
目の奥もツンと痛いし、ずっと座っているから腰も痛い。
肩も凝っているしずっと曲げている背中も痛い。
イゼルは何百年かぶりに感じる激しい苛立ちをおぼえていた。