Crazy
□研究室の狂気-8
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狂黒が飛び込んで行った部屋の扉は、粉砕されていて、外から見ても中が丸見えになっていた。
何か書斎の跡のようなところに見えるが、幾つものソファーが散乱している。
ゆっくりと部屋に向かって歩いて行くと、徐々に狂黒のすすり泣く声がはっきりと聞こえるようになった。
何故泣いているのかなんて考えもしなかったし、罪悪感も全くなかった。
書斎に足を踏み入れようとしたところで、一つのソファーに座る白い影を見つけた。
白い影は、突っ込んでいったであろう狂黒を受け止め狂黒の頭をなでていた。
狂黒は荒く息をつき、目は虚ろだった。
その虚ろな目からは、涙と血が流れ出ていて白い肌を濡らしていた。
虚ろな目がゆるゆると動き、私達をとらえる。
「あい…つらだ…あいつらが…」
ずいぶん衰弱しているのだろう。
さっきとは別人のような弱々しい声で、白い影に伝える狂黒。
「随分と遅かったな」
静かに冷たい声が響く。
狂黒を見ていた赤く鋭く光る瞳がこちらに向けられる。
瞬間、背中に悪寒が一気に駆け上がった。
危険だ。逃げろ。離れろ。
本能が危険信号を打ち鳴らす。
「貴様らが、狂黒をこんなんにしたのか?」
心底可笑しそうに口元をゆるめながら、白い影が問いかけてくる。
「よくもまぁ、ここまで追い詰めてくれたものだな」
クスクスと笑いながら狂黒の頭をなでる白い影は、ゆっくりと隣の机の上に置いてあった本を取り上げようと手を伸ばした。
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