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□1.Lost girl
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取りあえず、少女を抱き上げて事務所の扉に手をかける。

「あ、そうだ。お嬢さんの名前は?」

「リリスっていうのです。お兄さんの名前はなんていうのですか?」

「俺か?俺はバアルだ」

「なら、バアにぃです!」

ふにゃと笑うリリスに対しニカッ、と笑いながらバアルはリリスを肩に座らせて扉を開けた。

陽気な声で「ただいまー」といいながら入ってくるバアルを見て、ルシファーは固まった。
固まったあと、大きくため息をつきながら「終わった…」とつぶやいた。

「バアル…。今すぐ返してこい!」

「な?!!誘拐じゃねぇよ!すぐそこで困ってたから連れてきただけだ!」

半信半疑でバアルを見ていると、バアルの肩に座ったリリスがルシファーを見て首を傾げた。

「にぃに、リリスのにぃににそっくりなのです…」

「ん?」

「そうか、其れはよかった」

ルシファーはリリスに柔らかい笑顔を向けると作業に戻った。
バアルは電話でストサンを2つ頼んでソファーに移動した。
意味もなくリリスを自分の膝の上に乗せる。

「バアにぃは情報屋なのですか?」

「ん?そうだけど、どうして?」

リリスを抱きしめて頭の上に顎を乗せ、至極幸せそうな顔をしているバアル。
ルシファーは作業を中断させて、コーヒーと紅茶と砂糖を持って机に置いた。
扉をノックする音が響いて、ストサンが到着する。
ルシファーが取りに行って、机の上に置くとリリスは美味しそうに食べ始めた。

「リリスと言ったか?何故こんなところに?」

「よくわからないのです」

「迷子なんだ。わかるはずねぇよ」

「そうか…」

ズズッ…とコーヒーを啜るルシファー。

「リリス。砂糖は入れるか?」

「紅茶!大好きなのです!砂糖入れてほしいのです!!」

珍しくルシファーは笑顔をたたえながらリリスと対話する。
そんなルシファーを物珍しそうにバアルが見つめる。
左右対称のリリスのリボンを整えながらしばらく雑談に花を咲かせていると扉があけ放たれた。

「遊びにきたぜ!バアル!!」

「あ、ダンテさん!」

「お兄ちゃん…って、え?!リリス?!!」

リリスはバアルの膝の上から飛び降りるとダンテのほうに駆け寄るリリス。

「ダンテ。知り合いか?」

「知り合いもなにも!俺の可愛い妹d「嘘!」」

「そうだぞ、ダンテ。嘘はいけないな?」

うんうん、とうなずくルシファー。
ダンテはリリスを抱き上げて、リリスの口の周りについていたクリームを指で拭い舐める。

「こんな可愛らしいお嬢さんがダンテの妹なわけが…」

「ダンテさんはお兄ちゃんですよ?」

「あぁ…なんて……世界は不公平なんだ!」

ガンッ!と机を強く叩くバアル。
同じくもっていたコップを粉砕するルシファー。

「おい、バアル。今度可愛いのが落ちてたら拾って来い。遠慮はいらん」

「言われるまでもねぇ…ハハッ」

「お兄ちゃん達、どうかしたですか?」

リリスがトテトテとバアルとルシファーのほうに駆け寄る。
と、バアルがリリスを抱き上げた。



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