鉄のラインバレル

□君と見る夢
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「葉流、結婚してほしい」

「玲二……はい、お願いします」

キリヤマ重工の一件で私はトラウマを克服し、晴れて玲二と結ばれた私にさらに喜ばしいことが起こった。
左手の薬指に光る指輪を見る度、葉流はニヤニヤと口元を緩める。

「葉流さん、室長との結婚おめでとうございます」

「葉流姉、ほんま良かったわ
うち、ほんま嬉しいんやで」

「絵美ちゃんもシズナも、やだわ、まだ婚約しただけなのに」

葉流を取り囲む少女たちは嬉しそうに飛び跳ね、葉流は祝福を受け頬を染める。

年始にあった加藤機関の核起動事件も万事解決したJUDAには平和な時間が流れていた、そんな時期にやってきた葉流と玲二の婚約はささやかな希望をもたらしていた。

「葉流、少し良いか?」

「玲二、ちょっと待ってて」

ごめんねと少女たちに告げると葉流は、スラックスのポケットに手を入れたまま待つ玲二のもとへ駆けていった。

その背中を見て、少女たちは感嘆の息をつくのだった。

「どうかしたの?」

「いや、先日話した挙式の件なのだが」

二人は名目上婚約者の肩書きだったが、同棲もしており事実婚状態となっていた。
石神はそんな二人に早く籍を入れて式をしろと迫っていたが、どうにも間が悪く叶っていなかった。

「本来なら式場でと言いたいのだが、簡易的にJUDAで披露宴をしないか?
色んなことが落ち着いたら必ず、式をすると約束する、だから……っ」

珍しくマシンガンのように言葉を口にする玲二の唇を、葉流は人差し指で制しニッコリと微笑んだ。

「良い案だね、私JUDAで式をする第一号だ。
うれしいな、みんなに祝ってもらえるんだね」

「葉流……」

「ね、貸衣装で良いからドレスは着たいな。
絵美ちゃんやシズナがきっと喜ぶから、ね、良いでしょう?」

玲二は一瞬言葉を失い、優しげに微笑みと葉流を抱き寄せた。

「とびきりのウェディングドレスをプレゼントするよ」

「ありがとう……うれしい」

それからの玲二は早かった、社長に式をする場所の確保を頼み葉流のドレスを作るために葉流とともに走り回った。

JUDAで披露宴をすると決まるや否や、社長は歓喜して宴の準備をはじめそれにイズナやシズナ、絵美や浩一それに山下と宋美が加わってお祭り騒ぎとなっていた。

「ねぇ、玲二。
私今、一番しあわせ」

「馬鹿者、これからは毎日こんな生活になる」


君と見る夢
病めるときも健やかなるときも、共にあることを誓いますか?

「玲二、私ね、玲二の子供がほしいよ」

「これから作っていけばいい、もう俺たちは家族なのだから」

披露宴で誓いのキスを交わした二人は、しあわせだった。
これからもしあわせは続くと、当たり前に信じていた。

あとがき

20巻を読んでドキマギしている奏です。
最後のペインキラーにやられてるの、ヴァーダントじゃないですよね?

奏が好きになるキャラは死ぬという、やっかいな方程式があるのでマジ勘弁してほしい。
早く21巻こーい!!

2012.09.23 奏
 

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