『なあ蔵ー、飴持ってへん?』 「飴?飴ならあるけど…ハッカ飴やで」 『げっ…』 ハッカ飴は嫌い。だって苦いし、スースーするし、ミントがあまり好まないあたしはハッカ飴は天敵に近いだろう 「そういやあ自分苦手やったな」 「先輩ハッカ飴食べれへんとかウケるんスけど」 『光ムカつくー』 「飴なら俺持っとんで?苺やけど」 マジでか。謙也が苺飴を持ってるとか似合わない。まあそれはテニス部全員に言える話だが…でも欲しいに越したことはない。有り難く謙也から戴いたら左手に包帯を巻いている手があたしの手の平にある苺飴を取りやがった 『ちょっ、返してや』 「アカン、他の男…しかも謙也から貰うなんて絶対許さん」 「部長謙也さん如きに妬いとるし」 「如きってなんや!失礼過ぎるやろ財前!!」 うるさいなあ。と呟きながらビリッと飴袋を破って自分の口に入れる蔵。何とも酷い嫌がらせだ 『……』 「自分苦手は克服するべきやで?やから‥はい」 『…ハッカ飴を舐めろと?』 「おん」 素晴らしい笑顔で肯定する蔵に激しくイラついたが、こうもなれば蔵は絶対に引かない。暫くハッカ飴との睨み合いが続いた時 「それ舐めたらご褒美やるで」 どうせ大したご褒美でもないのにと口に出しながらもほんの少しだけ何か期待をしているあたしは、嫌々ながらもハッカ飴を口に入れた 『う"っ…やっぱスースーして苦い。こんなん克服どころかトラウマになる』 「そおか?そのスースーすんのがええやんか」 『んー…蔵の気持ち分からへん。なあもう嫌やで出してええ?』 口にはミントの香りでいっぱいで凄く嫌だ。舌がヒリヒリしてきてもう末期症状かも 「出したらご褒美出来へんやん」 『?意味分か…っん!』 蔵がいきなりあたしにキスをしてきた。その時あたしの口にあったハッカ飴は苺の味に変わっていた 『…甘』 「美味いやろ?」 『〜〜っ、確信犯!』 「当たり前やん、どうする?苦手…克服したいか?」 はにかんだ笑顔でそんな風に聞くなんて狡いよ。あたしの答えは1つしか限られていなかった 『に、苦手克服…したい』 オレオ(R)クッキーアンドクリーム 「ちゅーかアイツ等俺らのこと忘れてへんか…?」 「完璧俺ら後半空気ですわ。あのバカップル毎日見ていて飽きへんっスか?」 「財前はまだマシや。俺なんかクラスでもあんなんずっと見せつけられるんやからな!」 「……」 企画提出:31様 |