風黎館

□真夜中の風
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漆黒の暗闇。

しとしと雨が降りしきる世界。

風も吹かないのに、暗いせいかぼんやりと向こうに緑色の陽炎が見える。

ここがどこか解らない。辺りを見回しても、世界が黒く緑以外は自分の体でさえ真っ黒。

まるで虚空の世界。

すると一瞬目の前が弾けたと思うと、急に視界がはれてきた。

今までぼやけていた緑がはっきり見えた。

それは、小さな、水溜りのような輝く草原のようだった。

しかし1つだけではない…向こうにまた1つ、また1つ。
直線に自分を導くように、光っていた。



まっすぐ歩く。



この世界から抜け出そうと。

暗い、暗い世界から這い上がろうと。
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