ポタ

         




                        ポタ







     ポタ









雨・・・

冷たい・・・雨・・・



















『一言』





















黒く荒んだ空の下、崩壊した建物の破片と、所々から吹き出る炎と煙だけが私の周りにひろがっていた

先ほどまで大勢の人がいて、大きな建物が建っていたハズのこの場所には、人の気配は感じられない



ただ、一人を除いては・・・




ザッ・・・



私の正面にいる一人の男性

見た目は細い体をしていてとても強そうには見えないが、上から下まで黒に染まった姿とそれに対象的な金色に輝く眼からは、人の比では無いほどの威圧を感じさせられる




彼は言った

「・・・何故オレを狙う?オレたちが戦う理由はもう無いはずだ。お前を''兵器"として仕立てあげた組織はオレが潰した」

この言葉で分かるように、ここは私が兵器として育てられた場所、そしてここをこんな廃墟にしたのは彼一人の仕業であり、私はそんな彼と今さっきまで戦っていたのだ。互いを殺す為に・・・

しかし彼はもう戦わないと言ってきた、理由がないから

でも私は

「好きに生きろと・・・?戦い以外の生き方なんか、私にはわからないのに?」

そう答えた

自由になれなんて言われても、どうしていいか分からなかった

戦う為だけに生まれてきた私は、人を殺すことしか教えて貰えなかったのだから

でもきっと・・・

怖かったんだと思う

知らない自由が

自由になってしまう事が・・・




知らない自由を貰ってしまうぐらいなら

知っている戦いをして死んだ方がまだいいと

この頃の私は

きっと思っていた

でも彼はそんな私に・・・



























         チュン

                         チュン



「ん・・・」

私は眼が覚めた

「ゆ・・め・・・・」

明るく照らされた太陽、青く澄んだ空、そして所々から聞こえる生命の声はさっきまで見ていた夢とは対極する世界だった。

こんな晴れ晴れとした天気で起きれば誰だって清々しい気分になるはずなんだけど、私の気持ちは何時まで経ってもモヤモヤした状態になっていた

「また・・・」

また・・・、クロと出会った時の夢、ここ最近何度も同じ夢をみる。別荘でクロと再開したあの日から

実は昔、クロに再開した時に聞こうと決めていた事があった。なのに私は別荘で出会った時、友達の事で頭がいっぱいになっていて聞くのをすっかり忘れていたのだ。

多分その事を後悔してるのが原因でクロの夢を見ているのだと私は判断しているのだが、どうしたらいいものか・・・

前回は偶然でクロと出会えた。だが偶然とはそう何度も起こりはしない、だから偶然だ。もう会えないんじゃないかなと思う。

という事は・・・だ、私はこの先ずっとこの夢を見る事になってしまうのではないのだろうか?

・・・それは困る

「どうしよう・・・」

考えてみたがどうも一人では対処方法が思い付かない

ふと・・・、悩みごとは他人に話せばいいと美柑が言っていた事を思い出した。それが1番の対処方法だと

こういう時にはやはり友達に頼るべきなんだろう。
私は美柑に相談しようとその場で立ち上がった・・・だが

・・・

何故だろうか?美柑に話すのがとてもこっ恥ずかしく思える。

ただ単にクロのことを話すだけなのに・・・

そう、単にクロのことを・・・



・・・



そ、そうだ。もしかしたら病気という原因もあるかも知れない、だったら医師に話した方が適切だろう

美柑に話すのがイヤになった訳じゃないと、半ば無理やりな理由を作り自分に言い聞かせる。

それに美柑は殺し屋であるクロの事を良くは思っていないハズ、これは本当だ。美柑に嫌な思いはさせるわけにもいかない

で、出た結果が

「ドクター御門の所に行こう」

という事になった
























御門家ーーーーー














「ムフフフ!完成しましたよ、ついに!」

この怪しく笑うナース姿の少女は御門の助手であるお静、何やら片手のビンを嬉しそう眺めている

「これで春菜さんの恋も成就することまちがいないです」

と、友達思いの彼女は何かを作ったらしいが・・・

「また怪しい事をしてるわね」

「あ、先生」

お静が先生という彼女こそが宇宙人のドクターであり、かつ彩南高校の保健室の先生を担当しているドクター御門である。

「あまりトラブルは起こさないでね、お静ちゃん」

「起こさないですよ。そんなこと」

「そう、それならいいのだけど」

少し不安気な顔でいう御門

「まあいいわ、それよりちょっと買い物を頼みたいのだけどいいかしら?」

「わかりました。なにを買いにいけばいいんですか?」

「薬草をちょっとね、商店街の薬屋までお願い」

と品名の書かれた紙とお金を渡される、商店街ならここから徒歩で5分もかからずつける位置にある、楽な買い物だ。すぐに買い物の支度に入るお静

「気をつけてね」

「はい、ではいって来ま〜す」

彼女はナース姿のまま手提げバックを持って勢い良く買い物へと出て行った。作った薬をテーブルの上に置いたまま・・・

お静が言行ったのを確認すると御門も仕事の続きをしましょうかしらと一言いって机につく

色んな人や宇宙人のカルテを整理整頓し始める御門

御門はこう見えても宇宙ではかなり有名なドクターであり、彼女の手に掛かればほとんどの病気は治るとか・・・その為か遠い所からでも色んな宇宙人の来客がやってくる。

そう、色んな宇宙人が・・・






コンコン



ドアを叩く音が聞こえ来客が来たと判断した御門は入るようにドア越しの相手に声をかける

「どうぞ、入ってらっしゃい」

入る許可をもらい相手はゆっくりとドアを開けた。

ガチャ

「いらっしゃ・・・」

振り向きながら挨拶をした御門だったが相手を見た途端に少し気負けをした。



見た目は人間だった。だけど、この威圧感は人間じゃなかった。

それも当然だ、相手は各宇宙を周り、色んな宇宙人と戦い、殺して来た。

宇宙を支配しているハズのデビルーク、それの最大危険人物手帳、ブラックリストの頂点にも当たっているこの人物



上から下まで真っ黒く金色の瞳



そして、今のヤミの悩みの種



そう・・・










                 『クロ』だ

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