11/13の日記
08：45
《超高級旅館顛末記》
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白哉さんが貸し切ってくれた旅館は、それはそれは上品な、川辺の林の中に離れが数件点在するような高級旅館。
「どした？ 一護」
ちょっとむくれ気味の一護に恋次は声をかけた。
何が気に入らないんだ？
「俺さぁ、貸し切りだったらやってみたい事があったんだ」
「ん～？ あぁ、広い露天風呂で泳ぐ」
「違う!!」
「じゃあ、布団十枚重ねで寝る」
「寝れねぇだろ。違ぁう」
「じゃあ、何だよ」
「広い宴会場で、二人っきりで一つの布団で寝る!!」
「……」
寂しいだろ、それって…。
それに、高級旅館にそんな下世話なモンねぇよ。
『こちらです』と案内された部屋は、部屋と言うより一軒家。
ちょっとした別荘だった。
部屋にも檜の部屋風呂があり、川のせせらぎの音が聞こえ、静か過ぎる程静かな、あぁ…くつろぐってぇのは、こう言う事か…と思わせる、そんなたたずまい。
思わず、はぁ…と溜め息が漏れる。
だが、どうやら一護の想像していたのとは違うらしい。
居心地が悪そうに落ち着かない。
「なんだよ」
「なぁ、此処って『土産物売場』は？」
「ねぇな」
「ゲーセン」
「ねぇよ」
「カラオケ」
「あるわきゃねぇだろ」
「……」
「どうしたよ」
「つまんねぇ～～!!」
「おい…」
「つまんねぇ、つまんねぇ、つまんねぇ～よぉ!!」
「あのなぁ、こう言う処はな、いつもの煩わしさから解放されて、身も心も癒されにくる処なんだぜ」
「う～…」
夕餉に出された懐石料理を、しゃっちょこばって食べてる一護を見て、恋次は思った…。
今度旅館を貸し切って貰う時は…
一護仕様の『お子ちゃまパラダイス』な処にして貰おうと。
そうなんですよね、例え雰囲気が良かろうと、料理が死ぬ程美味かろうと、分不相応な処は居心地が悪～い!! 解るぞ一護。
肩凝って帰るなんてさ、温泉の意味がないよねぇ。
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