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□同じ雨に打たれて
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なんなんだろうな…。
頭ん中が曇っているみたいに不透明だ。
《同じ雨に打たれて》
あいつが旅禍で、尸魂界に災いをもたらす敵だって事は明らかで間違いのない事なのに、俺の魂の奥が疼くのは何故だ。
『思い出せないもどかしさ』が俺を揺する。あいつに名前を呼ばれた時、僅かに心が弾んだ。
尸魂界から旅禍を排除するのは、俺達死神の仕事だ。
「なのに…」
ヘコんだ。目茶苦茶ヘコんだ。他の奴らはともかく、あいつだけは憶えてる…と思ってたのに…。
ルキアと尸魂界にどエラい事が起こった…と、俺の何処かに何かを感じて急き立てられるように此処に来た。
相変わらず浦原さんは、出口を考えてねぇみてぇで、いきなり尸魂界の空におっぽり出されて、ひたすら瀞霊廷を目指した。
あん時みてぇに…。
なのに…皆な俺の事を忘れてた。
一番忘れて欲しくねぇあいつまで…。
なんで俺に蛇尾丸を振り回すんだよ!! 俺はテメェを傷つけたくねぇ!!
ルキアを救おうと、一緒に卍解の修行したじゃねぇか!! 俺達の魂は、繋がっていたんじゃなかったのか?!
闘いたくなんかねぇよ恋次!!
すんげぇ哀しかった。俺達は、あん時と違うはずだろ? 少なくとも俺はそう思ってるんだぜ。
なぁ、なぁ恋次!!
躊躇う事などねぇはずなのに、こいつの哀しげな目が、俺の魂の奥底が間違ってんじゃねぇかと叫き散らす。
だから…だから。
俺は、俺の魂に従う!!
こいつは…、俺の守るべき存在。
やっぱ俺達は特別なんだ。恋次と一緒なら、なんでも出来ると思えるんだ。
「恋次!!」
「呼び捨てにすんじゃねぇ!!」
あぁこれだ。
なんだか嬉しくなっちまう。蛇尾丸のたてがみにしがみついて、天空を疾走する感覚に酔い痴れる。
恋次、恋次…。やっぱ俺達は『ひとつ』なんだ。離れたりしねぇ、離したりしねぇよ。
全てが終わった時、ルキアの涙が雨になった。尸魂界に土砂降りの雨が降る。
同じ雨に打たれて…、俺達はまた心の絲が繋がっていく。
絹の絲のように艶やかに強く。
えぇ〜、皆様お分かりでしょうか。劇場版のDVDを観て、まさに雰囲気だけで書いたんですねぇ。
なんの伏線もテクニックもありません、こんな『書きっ放し』な文章を書く犯人は(古畑風に)……なんてね。