短い夢

□ごめんよ、ハニー
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試されているのだろうか。




相変わらず、よく回る口。
止まる気配は無い。

想いを寄せる女から己ではない男の話がされるのを、誰が好んで聞いていられよう。





「それで兼続殿ったら、謙信様の話しかなさらないのよ」





お前は先程から兼続の話しかしないではないか。

他人の前に自分はどうなのだ、自分は。




不本意ながら。

そう、全くもって不本意ながら見てしまったのだよ。


廊下という何時誰が来るとも知れぬ、公と言っても過言ではない場所で兼続などといちゃつく現場を。



それ以来、どうにも虫の居所が悪いというのに、お前は。

追い討ちを仕掛けてくるとはどういう了見だ。



俺を殺す気か。
(いっそ、ひと思いにやってくれ。)







「三成、さま…?
聞いておられますか?」





俺は試されているのだろうか。




こんなにも分かり易く態度で示しているというのに。


意図して眉間に皺を寄せていることに気付け。

一体お前のお陰で、どれほど紙を無駄に消費しているのかを考えろ。
(例に寄って、丸まった紙屑が部屋に散乱している)






「…そのようなくだらん話、聞く価値などない。」





これで少しは分かるだろう。

其の鈍い頭でも気付くだろう。


良い薬だ。



フン、と得意げに鼻を鳴らそうとした時だった。

視界の端に捕らえた震える手。
其のまま上へと顔を上げれば、真一文字に結ばれた唇は同様に震え双眼は目玉がこぼれ落ちるのではないかというくらい見開かれていた。



それから、

ぽたりと一滴。





瞬間、後悔へと変わる。












(素直になれない僕を許して)



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三成大失態の巻。←




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