リハビリSS

□もしあの時鬼灯さんが現れたら…?
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もしあの時鬼灯さんがいたら…?SEED編










MSストライクと、MSイージスのコクピットハッチがあき、二人の少年が見つめあっていた。
方や銃を相手に向かって構え、方や己の婚約者である少女を抱きしめている。まるで殺伐とした風景なのに、二人からは相手を殺してやろうというような殺気は伝わってこない。
それどころか、相手とこうして向き合わねばならない悲壮さすら感じられる。




「お前もこっちへこい、キラ!」




紅いパイロットスーツを着た少年が、青いスーツを着た少年……キラに向かってそう声をかける。彼も本当は、キラという少年のことを殺したいわけではないのだ。しかし……




「僕だって……でも、あの艦には……友達が、乗っているんだ!!」




本当は、キラも少年…アスランについていきたいのだろう。にじむ涙と苦しそうな表情に、その気持ちは誰が見てもわかるほど焦がれているのは一目瞭然だ。
しかし。キラにも、もはやどうしたらいいのかわからないほど状況は混迷し、そして、キラがアスランのもとへ行くにはしがらみが多かった。
アスランは、キラのその言葉に唇をかみしめ、決心を固める。




「なら……次戦った時、俺がお前を撃つ……!」


「……っ僕もだ……!」




アスランの言葉を受けて、キラもまた、アスランを撃つ決心を固めた。無重力の中、心が離れていくのと共に、二人の間も距離があいていく……




















「…………それ、おかしくないですか?」




















「「?!」」








突然響いた第三者(第四者?)の声に、その場にいた誰もが驚愕した。なにせここは宇宙、そう簡単に漂える場所ではないし、レーダーにも引っかからずこの場にいられるはずがない。
なのに、この声の主はいきなり出現した挙句、今この瞬間にもレーダーにひっかかってないし、しかも……




「な、なぜスーツを着てな……しかもヘルメットなしで?!」


「いえ、持っていませんから」




そう、無重力、しかも酸素のないこの宇宙空間で、なぜか地球にいるかのような格好で平然とたたずむのは、黒い着流しを着ている男で。
いや……あれ、この人、なんか額に角生えてません……?




「なんで宇宙なのにそのカッコ?!しかもなんで酸素なくて平気なのー?!」


「ああ……もはや、呼吸の必要のない体になりましたので」


「はい?!」




もはや、先ほども迄のシリアスな空気は霧散し、不思議な空気が漂っていた。いや、むしろキラもアスランもドン引きしていた。
そんなことはつゆほども気にせず、突然現れた乱入者は二人の顔を見て、はあっと大きなため息をついた。




「私のことはともかく……先ほどから見ていればなんですか貴方たちは。まず第一によそよそしすぎる!知り合いであることはわかり切ってるんですよ。久しぶりに会ったのならそれなりの会話をなさい。だからこうやって話がこじれるんですよ。第二にそこのあなた!」




ズバッと男が指をさしたのは、アスランであった、突然指をさされたアスランは、無意識にのけぞってしまう。




「誘ったのに断られたからって自分が殺してやるだなんて、どんだけ短気なんですか。断られた理由をもっと考えなさい。それに、断られたのならもっと追いすがるとか、言いようっていうものがあるでしょう?貴方の場合はただ諦めただけです。このヘタレ」


「な……っ!」




歯に衣着せぬ余りのいいように、アスランは頭に血が上りながらも何も言えない。しかし、男の独壇場はまだ終わらなかった。




「そしてあなたも」


「ぼ、ボク……?」


「シャキッとしなさいシャキッと。友達が乗ってるからなんですか。だったらその友達も助けてもらえるよう頼むとか、やりようはあるでしょう。それを、自分が守れるからとこのままの状態にしているのはあなたですよ。自分の力を過信しているから誰かを頼るという考えが起きないんです。この自己中が」


「ひうっ……!」




「ヘタレ」「自己中」とそれぞれ評された二人は、もはや声も出ない。しかし、男……鬼神・鬼灯が言ったことは彼らの動向を見ていた我々も感じていたことではないだろうか?
お互いに自分たちの立場にがんじがらめになっており、お互いのことが見えないばかりかお互いの領域に踏み込むことを無意識のうちに恐れていたのだ。
鬼灯の言葉で、二人の中にあった靄が、少しずつ晴れていく……




「全く……魂がやけに地獄に送られてくるから何かと思って久しぶりに現世に降りてみれば、無駄に命が奪われてくんですから。私たちに余計な仕事増やさせないで下さいよ。これに懲りたら、少しは話すことですね」




鬼灯は言いたいことだけ言うと、キラとアスランが瞬きした瞬間に消えてしまう。
今まで彼らが見ていたものは夢か幻か。だが、彼らの見えていなかったものが見えるようになったのは間違いない。二人は今一度見つめあった。
そこに、先ほどまでのとげとげしさは存在しない。




「「…………」」




………その後二人がどうしたかなんて……後は、読者の皆様の創造に任せようと思う。









END
















あるときふと妄想して、鬼灯さんが気持ちよくぶった切ってくれたおかげで10分かからず妄想が終了したため、これは文字に起こさなければと思ってました。
尻切れトンボになった感はあるけれど、とりあえずこれくらいで勘弁してください。

次はREBORN×とうらぶかきたいなぁ。

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