その他コラボ小説

□REBORN×SEEDコラボ!
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「僕はこの世界のことを全く知らないから,手足になって動く下僕はほしい。君はどうやら有能そうだし,とりあえず簡単にこの世界のことを知って,それから綱吉を探せばいいかと思うんだけど…何,ここは戦艦とやらの中なわけ?」
「あ,ああ……俺たちは今,戦争をしているんだ」
「ふうん…相手は?」
「ナチュラルという人間たち」
「人間?じゃあ何,君たちはそういう人種ではないってことかい?欧米とかアジア系とか黒人とか……」
「それは西暦の時代に使われていた区分だ。今はコズミック・イラという時代に入っている。この時代では,ナチュラルという遺伝子を操作されていない人間と,コーディネイターという遺伝子操作によって能力に突出した人間の二つに分けられている。俺は,コーディネイターのほうなんだ」
「ふうん…で,普通なら君たちのほうが強そうに見えるんだけど…でも戦争は終わっていないのかい?それとも始まったばかり?」
「いや…戦争はもう10年以上続いている。そして,いまだ終わる気配を見せていない……コーディネイターは絶対数が少ないし,資源のある地球はナチュラルによってほとんどを占拠されている。宇宙に住むコーディネイターは,あまり分のいい戦いとは言えないんだ」
「ここは宇宙だったのか。変な重力がかかるから不思議には思ってたんだけど。それで……貴方はさっきから,なんでそう苦しそうな顔をしているわけ?」
「…っ??!!」

アスランはまさか,心のうちに隠していた苦く苦しいものを目の前のまだ会って間もない人物に言い当てられるとは思っていなかった。
「氷の貴公子」と称されるアスランは,その名の通り表情にあまり心の内を明かさない。
過去にキラとともに過ごした幼年期は,キラがいたからこそ表情豊かであったが,今は鉄面皮もいいところで仲間の赤服にも体調の悪さやそういった感情を悟られたことなどなかったのに……

「気づかれてないとでも思ったかい?まあ,僕は読心術も心得ているからね,君が考えていることもおおよそ見当がつくけれど……貴方も,誰かを心の奥底で求めているんだってことはわかったよ」
「どうして…?」
「言っただろう,貴方の心が読めるんだって。それに,貴方も僕と同じような気がしてね」
「同じ?」
「大切な存在が遠くにあって,手を伸ばしても届かない…そんな感じかな」

そういった雲雀も,わずかではあるが顔に一瞬苦しげな表情を浮かべる。
彼もまた,綱吉という存在を渇望しているのだ。

「君は……」

アスランが雲雀の感情を感じ取って,声をかけようとしたその瞬間……

<アスラン・ザラ。至急ブリッジに来なさい。繰り返しますー……>
「ブリッジに……?」
「橋に来い?どういうことなんだい」
「ブリッジというのは,この艦の戦闘指揮本部のことだ。何か不測の事態があったのかもしれない」
「ふうん……なら僕も行くよ」
「え…えぇ?!」
「なんだい,不満だなんて言ったら……」
「そ,そうだな,君をずっとここに閉じ込めておくわけにもいかないし,隊長にも説明しておいたほうがいいかもしれないな!!」

雲雀の険しい視線にびくりとひるんだアスランは,結局雲雀を連れていくことになってしまった。









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