その他コラボ小説

□REBORN×SEEDコラボ!
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「……なるほど,何ともばからしい戦いなのですね」
「ばからしいって……」

一通り説明が終わると,綱吉はそう切って捨てた。キラはひきつる口元を隠すことすら忘れる。
ナチュラルとコーディネーターとの確執や現在の戦況,キラの個人的なことを聞いた綱吉の感想は,「ばからしい」のひとことにつきるらしい。
偏見などといった感覚を持ち合わせない綱吉からしてみれば,人種が違うとか言葉が違うとか力の差があるとかはどうでもいいらしい。それは彼の恋人に根本があるのだが,力で負けるのならば努力すればいいし,言葉が通じないならば通じるように勉強すればいい。人種が違うのなら新しいことを勉強できると考えればいい。むしろそれが常識だ。昔からなんでもできた綱吉は,確かにコーディネーターの思考のほうがわかりやすいのだが,どうもナチュラルのほうは劣等感が強すぎるように思える。

(というよりはむしろ,自分たちが生み出したものに恐れを抱いてしまったのか…)

怖さしか感じなくなってしまったのだろう。それは,未知のものに対する恐ろしさや畏怖の念とは違い,予想外の展開に対する未知数の恐ろしさと似ているようだ。
全く勝手なものだと思うが,戦況はそんな根本的な原因について論じている場合ではないほど進んでいる。それに,別の世界の住人である綱吉がひっかきまわしていい事柄でもない。

「あなたも大変なんですね…マフィアの後継者になりたくなくて逃げ回ってる俺なんかよりよっぽど辛い。しかも,こんな戦艦に一人だけで戦っているなんて…」
「…っ」

綱吉に指摘されたことは,キラがずっと心の奥で感じていて,しかし外に出すことができなかった寂しさ。不意につかれたキラは,ぐっと涙をこらえなければならなかった。
同じカレッジに暮らしていた友人はここでは気づかないだろうが,超直感とずば抜けた観察力を持つ綱吉には通用しない。キラの変化にいち早く気が付き,綱吉は本来の彼の雰囲気を完全に前面に出して慈愛のほほえみを浮かべた。

「ここにいるのは付き合いも浅い他人ですよ。あなたの知っている人の前じゃない…ここでなら,いくらだって泣いたっていいんです。勿論俺は口が堅いですし,他言することなんかありませんよ」
「………」

心の中の蟠りがほどけていくのを感じる。久しぶりに感じるその心地いい空気に,キラは大粒の涙を,声をこらえて流すのだった……。










………さて,場所を少し戻し,先ほど件の戦艦が通ったある地点に行ってみよう。
そこの一室で,闇色の髪を持つ少年が天井を向いて仰向けに寝転がっていた。

「……」

彼が考えているのは,この戦争に3年前に引き裂かれ,ついこの間敵として再会してしまった大切な幼馴染のことである。
最初は目を疑った…まさか,こんなところで再会するとはだれに予測できただろう。
あの時冷静な判断ができていれば,彼をこの戦艦に連れ込むことだってできたはずなのに……後悔が始まればきりがない。
彼…アスラン・ザラは,心の中で蟠るその想いに,ずっと苦しんでいた。

「キラ……」

アスランがそう誰にともなく呟いた,その瞬間。

ストン

「??!!」
「ふう……危ないところだったよ。この僕が無様に転げるなんて失態,するわけにはいかないからね」

アスランのベッドのすぐそばに,突然黒に身を包んだ少年が身を躍らせた。
どこからともなく降ってきた彼に,アスランは軍人としては失格だがすっかり思考をフリーズさせて固まってしまう。
と,その少年もアスランの存在に気付いた。



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