復活Novel

□天然vs天然?!
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全く意味が分からないその言葉に,転校生こと松風亜由美は首をかしげた。
そんな仕草もかわいらしくて,周りの男子は心の中で身もだえる。
しかし女子はそういったことには寛大であり,あまり刺激は受けないので,話を続けた。

「その風紀委員長の名前は『雲雀恭弥』っていうんだけどね…その人のもう本当に恐ろしいのなんのって!!そりゃ,黒曜の事件は彼のおかげで解決したってもっぱらの噂だけど,それがただ強い人とかガラの悪い連中に向けられるならまだしも……ただのか弱い私たちにまで問答無用でトンファー振り上げるのよ?!私たちのこと草食動物なんて言っちゃってさ!それに,何人かで廊下歩いてるだけで『群れ』って言って咬み殺そうと…あ,あの人咬み殺すっていうのが口癖らしいんだけど……」
「…そんなに怖いの?」
「そりゃもう!……まあ,遠くから見てる分にはあの人すごい顔も整ってるし,格好いいんだけどね。あ,そうだ……ちょっと沢田!」
「へっ?!」

歩みの周りで話していた女子が,唐突に外を向いていた生徒を呼んだ。
すると間の抜けた声が返ってきて,とてとてと誰かが近寄ってくる音がする。

「な,なに…?」
「あんた最近,ヒバリさんに呼び出されること多いわよね?何やらされてんのよ」
「えぇ?!そ,そんなの…パシリ…だけど……」
「んなこと分かってるわよ!そうじゃなくて,あの人どういう態度なのよ?ダメツナのくせに咬み殺されても来ないし…」
「そ,そんなの,咬み殺されないように死ぬ気で手伝ってるに決まってるジャン!!」
「へぇ……まあそうか。進んで応接室なんかに行かないよなー」
「…応接室?」
「風紀委員基風紀委員長の居城よ。校長脅してヒバリ専用の部屋になってるんですって」
「ふうん……私,その人に興味あるな」
「「「ええっ?!」」」

この学校で…いや,この町に住むもので,彼と同等に話ができるものなど一握りほどしかいない。
それほどまでに厄介であり最強のお方を前にして,「興味がある」と言ってのけるこの転校生に,誰もがしかし同情心から止めようとした。

「や,やめろって!本当に怖い思いするだけだから!!」
「そ,そうよ!怪我したくないでしょっ?!」
「ええ?でも,いくらなんでも初対面の相手にそんないきなり暴力振るったりなんて…」
「「するんだよ(のよ)」」
「……でも,私たくさんお友達作りたいから」
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