その他コラボ小説

□永遠のキズナ 番外編
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……………………綱吉は,家の前に来ても別に違和感には気付かなかった。未だコンラートのハンカチを握りしめ(近くなってきてようやく涙も止まったのだ),雲雀のいる家にゆっくり足を進める。それとともに,有利の緊張がピークに達し始めた。ここでばれたりなんかしたら,目も当てられないからだ。それをさりげなくコンラートがフォローする。




「さ,雪も降って大分冷えてますから……早く入りましょう。ツナヨシ先にどうぞ……ユーリも一緒にね」


「お,おう!」


「寒かったですね……家の中はきっとあったかいですから,中に入ったら温かい飲み物用意するね」




普段の綱吉の調子を取り戻してきたようすで,コンラートが扉に手をかけてくれると素直にお礼を言って,何の躊躇もなく暖色の明かりのついた室内に足を踏み入れた。その瞬間………




「「「「メリークリスマス・綱吉!(つー・ツナ)」」」」




「……………ふえ?」




扉の間にいたのは,ここにはいないはずの友人たち……彼らの言っていることも理解できなくて,綱吉端々その場にかたまってしまった。その後ろで安堵のため息をつくのは有利で。




「…っよかったー!!綱吉にどうにかばれなかったぜ……!!」


「ちょっと危なかったですけどね……計画は成功ですよ」


「当り前ですよ。ばれてたりなんかしたら,貴方達のこと廻らせてましたよ?」


「おい……コイツめっちゃくちゃ固まってんぞ?」


「つーったら可愛いすぎーvVって……あれ,目が赤い…?もしかして,泣いたの?!」


「ちょっと二人とも,何ツナ泣かしたの!」


「お,落ち着いてくださいキラさん!!ちょ…雲雀さんもトンファー出さないで!!;;」


「綱吉に何言ったのさ……内容によっては殺すよ?」


「せめて咬みはつけてください!!!!」




一気に騒がしくなる室内。それに,綱吉もようやく我に返って,それぞれの顔を見回した。




「え……な,なんで……?!」


「今日はクリスマスだろう?綱吉が落ち込んでいると聞いたから,驚かせて元気づけようと計画したんだ」


「音弥さん……」


「準備も大分停滞したんだけどな。なにせこのメンバーだから」


「アスランさんまで……そんな,俺のために……?」




クールな二人が苦笑しながらぎゃいぎゃい有利とコンラートに迫っている彼らを見やりながら綱吉に説明してやった。有利やコンラートもそうだが,これだけのメンバーに大切にしてもらっているという実感がじわじわわいてきた綱吉は,また涙がこぼれてしまいそうになるのをどうにかこらえた。
そんな綱吉の様子にいち早く気づいた雲雀がさっと傍による。そして,僅かに赤味の残っている目元を優しくなでてやった。




「どうしたの綱吉?喜んではくれなかったかい……?」


「……っそんなことありません!嬉しくて……皆が,すごく暖かいから……!」




綱吉は,雲雀に僅かに浮かんでいた涙を拭われると満面の笑みをうかべてみせた。その笑顔は,誰もが望んでいたもの……心の傷が癒え始めた証でもあり,綱吉と言う人物が戻ってきたということを示していた。あまりに美しい笑みに,雲雀はしばし見惚れてしまう。
それに,他のメンバーも気づいて綱吉の周りに集まった。




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