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□永遠のキズナ 番外編
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浮かばない顔の綱吉に,コンラートは困ったような苦笑を浮かべた。
これでも実際よくなった方なのだ。決別した当初は別れた後にかなり混乱していたし,並盛を離れた後も何度か錯乱して,ほとんど眠ることも食べることもできなかったのだから。今は雲雀の献身的な介護のおかげで割と普通の生活を送れるまでに回復しているが,実際はまだまだ心の傷は癒えていない……綱吉の心からの笑顔は,まだ戻って来ない。
「ツナヨシ……貴方が悩むのも分かります。だって,貴方が下した決意は,彼らがもう二度とボンゴレと……つまり,闇の世界とは関われないようにするためにした決断ですからね。でもそれは,俺は決して悪い決断だとは思いませんよ?」
「コンラート…さん……?」
綱吉は,ふとした瞬間に暗くなってしまう表情を驚きに変えた。有利も,コンラートが何を言おうとしているのかよく分からなくて首をかしげている。
「マフィアという世界は,常に死と隣り合わせの世界だ………特に貴方は,この前のリング戦でボンゴレの暗殺部隊をじかに見る機会があり,簡単に人の命を奪おうとするそんな人間がいることも知った…そうですよね。だからこそ貴方は,彼らが闇の世界と関わることを良しとはしなかった。それは,つまり彼らの命を救うことと同義になりませんか?」
「そんな……大げさすぎますよ。それに,俺のことかいかぶりすぎです。俺はそんな,そんなこと考えてなんか……」
「考えていなければ,貴方がそんな決断をする理由が思いつきません。だってツナヨシはもうボンゴレとは切り離れてしまった存在だ……彼らがボンゴレに残っていたとしても,綱吉には関係のないこと。それでもそういう措置を行ったのは……彼らを守りたかったから,それ以外の何ものでもありません」
「…………それって,自意識過剰すぎですよ。そんなふうになんか,思えない……」
「思っていいんだよ!」
「有利……」
今の綱吉はどこか卑屈だ。コンラートの言葉に素直にうなずくことはできない。それは偏に彼らに対する罪悪感があるからなのだろうが……そもそも綱吉が罪悪感など持つ必要はないのだ。
だからこそ,コンラートが言いたいことを何となく理解した有利は綱吉をまっすぐ見つめて訴えかけた。綱吉もまた,有利のまっすぐな瞳を見つめ返して,戸惑いに揺れる瞳を瞬かせる。
「綱吉はさ,もう誰にも傷ついてほしくなくて……だから,戦いの中に身を置くようなことして欲しくないから,あいつらをボンゴレみたいな巨大マフィアとは関わらせないようにしたんだって!それに,絶対そんなのに所属するよりは,普通の生活送った方が平和でよくないか?」
「ユーリ……貴方がそれを言ってしまったら,本末転倒ですよ……」
「………あれ?」
時代ボスになることが決定している有利がそんなことを言ってしまったら,君は自分の将来をどう生きるつもりなんだと突っ込みたくなるところなのだが,綱吉はなぜかそれを聞いた後すっかり俯いてしまって,反応が全く分からない。恐る恐る覗きこむようにして有利が身をかがめると……
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