その他コラボ小説

□永遠のキズナ 番外編
3ページ/40ページ





「料理……終わらないと,運べない……」


「クロームの言うとおりですね。それに,早くしないと綱吉君も帰ってきてしまう……急ぎましょうか」


「ふん,君に言われなくたって手は動かすさ」


「ヒバリ,相手にしない方がいいって。俺もそうすることにするから〜」




代替喧嘩を吹っ掛ける側の雲雀と臨也の言葉にぴくぴくとこめかみを反応させる骸と静雄だったが,奇跡的にそれを買うことはしなかった。だが,雲雀はそれに大分イライラした様子である。
何しろ彼は群れることが大嫌いだ。心底嫌悪している。それなのに群れなければいけないというこの状況は,雲雀の勘にひどく触ることだった。綱吉のためと思っていなければ,今頃家の中にいる者全員咬み殺しているところだろう。




「さてさて……時間ももうないよ,さくっとやっちゃおう!つーの驚く顔が楽しみだな〜♪」




臨也らしい言葉に誰もが彼の心情を察してため息をつきたくなったが,時間がないのは確かだったので言いたいことを全て飲み込んで作業に入るのだった。


















…………そして,当人である沢田綱吉はと言うと…………




「雲雀さん……なんで,俺に出かけるように言ったんだろう?今日って何かあったっけ…」


「へ,へっ?!なななな……何もないよ何にも!おおお俺たちが来たから,雲雀さんもちょっと気を使ってみたんじゃないかなッ?!」


「ユーリ……(動揺しすぎですよ;;)」




綱吉・有利・コンラートが今いるのは,綱吉と雲雀の家からさほど離れていないところにある湖のほとりであった。
街に行こうかという話もあったのだが,すると綱吉のすぐ今日はクリスマスだとばれてしまうし,何よりまだボンゴレの数名は綱吉のことを探している……何しろ初代の血を継いだ唯一の後継なのだから,簡単に手放すのは惜しいのだろう。それを考えれば,いくらコンラートが手だれとはいえ少ない護衛で綱吉と,有利だって,人の多いところをぶらぶらするのは避けたかった。




「きっと,腕によりをかけて料理を作ってくれているんですよ。もう少し散歩して,それから帰りましょうか。期待していていいと思いますよ?」


「ちょ……コンラッド!!」


「有利…どうしたの?なんか,いつもと様子が……」


「違くなんかないからな!何でもないから!!」


「……?」




明らかに動揺している有利だったが,綱吉はそれ以上突っ込もうとはしなかった。誰にだって聞いてほしくないことはあるし,秘密もある。それを分かっているから。

下を向いて俯いてしまう綱吉は,未だについ2ヶ月ほど前のことを引きずっていた。
彼が一番苦しく思っているのは,何より自分が仲間であり友人であった人たちに下した決断のことだった。苦渋の中,彼らが最後に見せた後悔と哀しみのあの表情を,どうしても忘れることができない……そして,傲慢にも彼らの今後の人生の選択を狭めることになる己の判断に,嫌悪を抱いてしまうのだ。

少しでも考える時間があると,綱吉の思考はそっちに流れてしまう。それを理解しているからこそ雲雀は家に有利などといった人間を極力呼ぶようにするし(例え自分は,群れが嫌でも,だ),また自分も綱吉とともにあり続けようと1人で外出することはほとんどない。
今日は有利とコンラートがその関係もあって訪れてきたというわけだ。そして,気分転換に綱吉を外に連れ出したのである(……と,綱吉は思っている)。




.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ