闇短
□黒の宴
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「せっ静蘭助けてっっ」
愛しい人が駆けて来る...
出来る事なら助けてやりたい...
が...
ムリだ...あの黒属性に好かれてしまっている姫君を助ける事は...
あぁ、妹よ...不甲斐ない兄を許しておくれ...
静蘭は心の中で涙した...
同じ顔の三人にがっちりと腕をとられ、連れて行かれる姫君を見ながら...
今の名は藍姫君...
そして、昔の名は紫姫君...
流罪にされ、茶州で襲われた時、
まだ子供だった姫君を、乗っていた軒の椅子の中に隠した。
姫君が助かったのは、
見つからなかったのか・・・
それとも殺せと言われていなかったからなのか・・・
流罪になった私達の行方を追っていた、藍家の手の者に姫君は保護され、
その数年後私と再開した。
感動の再開になるはずだったそれは、、、
藍家当主達の行き過ぎた愛をまざまざと見せつけられるはめとなり...
私がお世話になっている紅邵可邸に住まうようになってからは、紅家三兄弟に...
好かれてしまった...
可哀想に...
あぁ、妹よ...許しておくれ...
静蘭は袖の端で、よよよと涙を拭きながら回廊を去り、自室へと籠った(現実逃避)