???
□かわいこちゃん出ておいで
1ページ/5ページ
「なぁ邵可、随分とかわいいの抱え込んでるんじゃん。味見させて?」
開口一番そう放った来訪者に、開けたばかりの門をピシャリと閉めた邸の主、紅邵可は。
そのまま背を向け来た道を戻る。
「なあ、いいだろぅ。僕にもさ〜」
ペロリと赤い舌で唇を舐めているその者は、
ピシャリと門は閉められているにもかかわらず、真横に平行し歩くものだら、邵可は眉を少しばかり寄せ、
『何しに来たんだ子猫ちゃん』
帰れと言わんばかりにそういい放った。
「えー。だからー、隠しても無駄だから。かわいい子囲ってんの僕知ってるしー。イテッ」
語尾の伸びきったその言葉使いに、邵可は無言で彼の顔面を掌底で突いた。
痛いよ邵可。随分なご挨拶じゃないか。
そうぶつぶつ言いながらも、二人して建物の中へと向かっているところだった。
コン…ガダ…
使用人が小口を開け帰って来たよう。
ニィ――
後ろを振り向かずして、口角を上げた男に。
『静蘭のことか』
短く嘆息し。後ろを振り向きおかえりといつもの顔で家人を迎えた。
.