紅華
□紅華
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『大丈夫かい!?』
「我が背の君...」
『頑張るんだっ』
「のぅ、邵可、妾はもう駄目じゃ...」
それは白夜の夜の出来事だった
「ふぇっ んぅ うぁ〜ん」
彩雲国のとある場所で、小さなうぶ声があがった。
「そうじゃのぅ、この子らの名は秀麗と紅華じゃ」
赤子を抱き寝台に横になる、邵可の妻である細君がそう告げ。
『うん、とてもいい名だね。
二人目がなかなか出てこないから、どうなる事かと思ったけれど。』
妻の頬に汗ばんで張り付いた髪を後ろへ透き流し、夫である邵可は微笑み浮かべる。
『君が「もう駄目」なんて言うものだから焦ってしまったよ。』
「なかなか出てこぬから、疲れてしまっただけじゃ。男は見守るだけであろうが。」
子をなすことさえ難しいと言われていた薔薇姫。
子をなしたうえに、二つの小さな命をさずかり驚きも感動もひとしお。
『紅華はどことなく雰囲気が君に似ているね。それに秀麗は君の目にも似ているし。』
「だがそなた似でもあるぞ」
―――ふふふっ
二人は目元口元をそう綻ばせ、長姫秀麗・末姫紅華の誕生を喜んだ。
『君も休むといい。本当にありがとう。』
そう言って妻の頭を優しく撫でていると、いつの間にか赤子たちも泣くのをやめすやすやと、薔薇姫と共に眠りについたのだった。
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