闇中

□シャウト
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「ふぅん。で、これどう思う?」


男の耳に揺れるそれに


「あ、可愛いと思います。」

緊張した面持ちで、当たり障りのない答えを愛しき姫がそう返せば。





「そう?。これね、少し前に買ったんだよね。それとあれも。」

垂れ目が嬉しそうにさらに下がって見える青年が、
事務所のスチール棚の上に置いてある金色のタヌキを顎で指し。

指しながらのついでと言ったかのように
「あそうそう、お嬢さん採用だから。来れそうだったら明日から。」



「ありがとうございます。よろしくお願いいたします。」


後ほど連絡で、採用か不採用か知らせが来ると思っていた愛しき姫は、
唐突に口にされた採用に、驚きつつ姿勢を正して嬉しそうに礼をし。


「じゃあそうゆうことでよろしく。」


お気に入りのピアスを揺らしながらそう手を差し出され、愛しき姫はぺこぺこと日本人らしく会釈を繰り返しながら握手を返し。


「失礼いたします。」

事務所のドア前でそう最後にもう一礼し、ドアを閉めた。








‐‐‐‐‐





「お疲れ、どうだった?」

「ふふふっ♪、」

「ぅん?可愛い笑顔だね愛しき姫、」

採用、合格といったものは幾つになっても嬉しいもので。
愛しき姫は、近場のコインパーキングに車を停めて帰りを待ってくれていた月の車に乗り込んで、抑え切れずにふふと笑みを零し。


「採用です♪、お花に詳しくないので心配だったけど、気にしなくていいっておっしゃってくださいました。」

「そう。それは良かった。」

ニコニコと笑う愛しき姫が嬉しくて、月の目許も緩むが。
愛しき姫と視線が絡むと、途端に目つきを妖しく挑発的なものに変え。


カーステレオを弄り、


〜〜♪


車の中に大音量の月の歌声が艶やかに妖しく響く。



「さ、愛しき姫、シートベルト締めて。」


締めてと口にしつつ、助手席に座る愛しき姫の方へ身を不必要に寄せ、カチャリとシートベルトを月自らしてあげ。


ステレオから響く月の歌声に恥ずかしそうにそっぽ向いて、窓の外へとこちらも不必要に視線を飛ばしている愛しき姫の耳じりに、月は唇をあて……




「クスッ、、、玩具買いに行こうか・・・」


妖しく囁き、反撃される前に体をスッと離しハンドルを握りアクセルを踏んだ。




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