闇中
□どうして君か、
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『所謂(イワユル)…大人の玩具です』
「オモ……チャ」
『そう、玩具。』
口づけた体勢のままぼぅと視線を向ける愛しき姫の、
互いの銀糸で濡れた唇を親指で拭ってやりながら雪はそう言うと。
文机の真横に置いてあった、
座布団半分程の底で、文机の高さより僅かに低い木箱を引き寄せ愛しき姫に差し出し木の蓋を開けた。
『愛しき姫さん・・・唇だけだというのに貴女は・・・』
その可愛らしい、くたりと力の抜けた…たったキス数回だけで息を乱すその姿に触発されながら、雪は小さな玩具を手に取って見せ。
『これが何か分かりますか?』
「っ……」
存在を知っていたのか、顔を紅くした愛しき姫に、
雪の悪戯な笑みは深まった。
『おや…、ご存じのようですね。・・・・・・実際に使ってみた事は?、』
ふるふると戸惑い困ったように振られた頭に
『触ってみますか?』
答えを待たずして、床に投げ出された手の平に、丸みをおびたピンク色のそれを乗せた。
すると雪の予想した通りに、愛しき姫はピクリと一度手を揺らしたきり固まって、、、
『日頃私が、何を書いているのか・・・・・・知っていますか?』
文机に一度視線を向け愛しき姫へ戻すと。
『少しお見せしましょう……』
手の平にあるソレだけで頭の中がいっぱいなのだろう愛しき姫に口許を緩めながら、目許に囁かなキスを一つプレゼントして。
雪は文机の前の坐椅子に座り。
机の上に散らばる原稿用紙を手にパラパラと何枚か眺め。
やがてそのうち一枚を手に選び・・・・・・
『こういうモノを書いています。』
仰向けに動けぬ愛しき姫にゆったり沿うように横になり。
紙を持たぬ片腕で自らの頭を支え、
先程手に取った原稿を、愛しき姫の前へと差し出した。
「・・・・・・ッ」
黒目が戸惑い狼狽えキョロキョロと、、、
縦読みのソレを、横に動かして原稿に綴られた文字を追っている姿が思いの外可愛すぎて抑えが効かず。
チュ…チュ、クチュ、
目許に、
耳に、
頬にと、
戯れるように唇を寄せ上気した頬を眺めながらクスリと笑う。
『クスッ。。あまり刺激が少ないものを選んで見せたつもりでしたが・・・』
黒目がキョロキョロと、何処を見ていいのか動く仕草が可哀相なまでにオロオロとしていて。
雪は原稿を視界から遠ざけ、木の床を滑らせるように紙を放って、、、
『少し虐め過ぎてしまったようですね。』
…嫌いにならないでください。
と、耳打ちして。
自身への腕枕を解き。
愛しき姫に隙間なく密着するように体を寄せて、
固まったままの玩具を持つ手に自分の右手で覆い。
ソレを二人の掌の中に閉じ込めた。
『愛しき姫さん、私の顔を見てください。』
左腕を愛しき姫の頭の下に回し。腕枕をして自分の方へと顔を向かせ。
その隙に、覆う右手から伸びるコードの先を、腕枕した左手の先が見つけ。
カチッ
「ツッ…!」
ブー、ブブ、ブー、ブー、
端整な顔を瞳に映していた愛しき姫は、
雪の掌に覆われていた手の中の、突如動きだした振動に息を詰め。
『この玩具は……
ローターは、このような振動で動き。』
今はまだ弱ですが。強にすると更に振動が増し刺激も増します。
愛しき姫さん....
『この玩具、何処に当てて欲しいですか・・・?』
甘く妖艶な囁き声が、
淫らな呪文を囁かれたようで...
愛しき姫の瞳と躯の奥が、キュッと痺れるような悲鳴を上げた。
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