闇短

□黒の宴
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ーー邵可邸某部屋にて・・・ーー



『遅かったね』

満面の笑顔で邵可がそう言い、

「逃げても無駄だ、諦めなさい」

と、玖琅が諭し、

「嫌ですっっ」

「折角お前の為に作ってやった特注のコレで、喜ばせる為にわざわざ来てやったんだ!拒否権は無いっ!」と、

黎深はそう言いながら姫君に、複雑に溝と凹凸が施してある男性の模造品を見せつけた。



『「「私達も可愛い姫君に会うためにわざわざ藍州から来たんだよ?」」』

と口々に言い、続けて雪が

『見てごらん、姫君が小さな時に遊んだパンダさんだよ。』
と口にした。


「・・・・・・いゃぁぁっ」


模造品のソレの先はパンダ仕様となっており・・・先端部分が異様に大きく作られていた。



『きっと姫君も直ぐに好きになるはずだからね』


「やめて下さい雪様」


「昔は何でも言う通りにしてくれたのにね。誰が悪い入知恵をしたのかな?」


「困ったものだよね」


『まぁまぁいいじゃないか、彼だって妹を思っての事だし。
まあ、何もかもが遅かったのだけれどね、クスッ』

楽しそうに、黒く妖しい笑みで微笑んだ。


雪・月・花・黎・玖『「「「「・・・・・・・・・」」」」』


「ゴホンッ!兄上、まずは私達が先に姫君を苛めましょう」


『黎深・・・雪那君達に聞きもしないで、また勝手にそんな事決めて・・・
いいのかい?』

最後の方は雪那達に向け尋ねてはいるものの、既に決定事項のような言い方に、否と言えない・・・。


「「「・・・はい」」」


『そうかい?なんだかすまないね』

そう口にしつつも全く思っていなそうだ。


『こっちへおいで』


既に寝台の上に陣取っている、邵可・黎深・玖琅の方へ姫君を呼び寄せるが、床の上に突っ立ったまま動こうとしない。


『言うことを聞かない子にはどんなお仕置きが待ってるかな?』

満面笑顔で吐き捨てる。


タッ!

姫君は床を蹴り、雪・月・花の背の後ろに隠れ、彼等の服をきゅっと掴む。

真ん中にいた月が、
「私達がついているから大丈夫だよ」

と頭を優しく撫でながら微笑むと、
姫君はその優しい笑みにつられ月の懐に顔を埋めて両端から手を放して月の背に手を回した。


藍州にいた間はずっとこの三人に言われるがまま教え込まれ愛されていた姫君...
雪那達に優しくされれば、昔のように素直に甘えてしまう...


可愛い姫君の姿に月は目を細めたが、

面白く無いのは紅家三兄弟である。


タンッ!


黎深と玖琅は床を蹴り...


ガシッ


しっかりと掴むと、ややご機嫌斜めになりつつある兄に、姫君を献上した。

邵可は姫君の顎を指先で掬い上げ、視線を合わせると...


『お仕置き・・・・・・されたいの・・・?』
極上の笑みでそう言った。
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