短編小説-FE

□痺れはどこいった
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カン!キン!
カカカカカカ!!

サッ

金属音が響いた。
白熱した戦いが続く。

ア「はあ!」


大将の素早い斬撃
思わず剣で庇う。

ガキン!!
ワ「あっ!」

剣を弾かれた

ア「俺の勝ちだ。」
ワ「くっそー!また負けちゃったよ!」
ア「だが、結構危なくなってきたな。以前と速さが段違いだ。」
ワ「え、そう?大将に言われると自信つくな〜。」
ア「あんたが毎日鍛錬している成果が現れているだけだ。」

そんな会話をしながら剣を拾ーー

ポロッ

ワ「あれ?」
持った剣を落としてしまった。

手に力が入らない。
ワ「痺れてる…。」

ア「ワユ、どうした?」
大将も気づいたようだ。
ワ「えっと…手が…」


ミ「あっきれた!勝負して手を痺れさせたなんて!」
ワ「そ、そう言わないでよ〜。」
ア「いや…すまん。」
ワ「大将も謝らないでってば!」

ミストに手当てをして貰っている。
レストの杖は、切れているらしい。

ミ「こーいうのは、本当はすぐに治るんだけど…。ここに来ても治ってないから、1日2日は治らないかも。」
ワ「え!それじゃ大将との勝負はお預けかあ。ごほ…ごほ。」
ミ「ワユ!風邪も引いてるの?」
ワ「え!違うよ。でも、鍛錬位なら…」
ミ「ちょっと。勝負は勿論、鍛錬も禁止よ!安静にしてなさい!」
ワ「えー!?」

そんな〜、とガッカリしているワユを傍目にミストは言う。

ミ「…絶対勝手にやりそうね。そうだ、お兄ちゃん!」
ア「ん?何だ。」
ミ「ワユの世話も兼ねて、見張りをやって!」




ワ「大将、わざわざ付き合せちゃってごめんね。」
ア「何言ってる。俺のせいなんだから当然だ。」
ワ「んー。そうかもしれないけどさ」

キャッ
突然小さな悲鳴
ワユが転ぶーー

ア「おい、何やってる。」

ーー前にアイクが受け止めた。

ワ「あ…。」
ア「どうしたんだ?調子悪いんじゃないか?」
アイクに言われるとは相当だ。

ワ「わかんない…。」
ア「はぁ…。ワユ、もう休め。食事も持っていってやる。」
ワ「う、うん…」


ワ「どうしたんだろ…。」
部屋で一人佇んでいる。
ワ「大将には迷惑かけちゃうしなぁ。」
おまけにさっきから何だか頭が痛い…



コンコンッ
ノックの音がしてアイクが入ってきた。

ア「おい、飯だぞ。…ワユ!?」

ワユは椅子にぐったりともたれ掛かっていた。

アイクは額に手を当てた
ア「…!」
熱い。

そして、慌てて外に出て行った




ワ「あれ…」
ワユが眠気眼で起き上がった。

ア「まだ起きない方がいいぞ。完全に風邪だ。」
ワ「え」

ア「ほら。」
アイクが粥を差し出す。
ア「オスカーの特製だ。ーーと、そうだ。自分で食えないんだったな。」

ワ「ん…」
アイクに粥を食べさせて貰う。


ワ「えっと、あたしどうなってたの?」
ア「ああ。俺が来た時、お前は倒れててな。ミスト達に診てもらったんだ。」
ワ「大将は、ずっとここにいてくれたの?」
ア「そうだが?心配だったからな。」

ーーこれって、自惚れてもいいのかな…
ワ「大将」
ア「何だ?」

ワ「ありがとう!」

彼女は満面の笑みを浮かべて
抱きついてきた。

おしまい
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