『小さなお話』

□『記憶の鍵』
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 何かがあった時のために、その魔術を、自分自身に懸けるよ。
いつか、必要になる。




宝物庫で見つけた古い書物の中に、『記憶が無くても記憶を持ってるかのように、身体を動かし
生きる魔術法』という、項目があった。


古い眞魔国語で書かれてあったが、指でなぞると、読むことが出来た。著者アルフォース・アレン。



『あれ?この名前、僕の前世の1人だよ。なんか、見覚えあると思ったら・・・。』


村田と2人で、好奇心をそそる物
がいっぱいな宝物庫を探検していた。そしたら、村田にとっては、
懐かしい物がいっぱいで夢中になっていた。
しばらく、付き合ってたんだけど・・・。
いいかげん飽きて来て、欠伸をして、身体を大きく伸びをした所に、偶然、目線に入りずらい棚を
見つけた。そこに丁寧に包装された魔術書を見つけたのだ。

本は、いつもは見たくも無いのに
手を伸ばして取り出して、細かく結ばれた紐を解いて、いつの間にか開いて指先を使って読もうとしていた。



『魔術を永続的にかけていたのに、渋谷は簡単に解いてしまったね。アレンは、この時代の魔王だったんだよ。国政を、放っておいて研究ばかりしていた変わり者。』
『じゃ、この本の内容も覚えてん
の?』
『うん、覚えてる・・・と言うより、記憶から取り出せると思う
よ。覚えてると言うより、たくさんの記憶から、検索して取り出す。かな?』
『これ読みたい。手伝ってくれよな。』


2000年も前の書物で、どうしても読めない所があった。
村田の前世の人が、書いてるのなら読める。

そして、2人で10日程、解読に
取り組んだ。

俺はどうしても、その魔術が必要
だと感じた。

時々、湧き上がる不安・・・。
日に日に、何かが起こる予感が大きくなっていく。

そんな時、手に取った魔術書。
暖かなエネルギーが、流れこんで来た。

これで、大丈夫・・・。

まだ、起こっても居ないのに、不思議な安心感を感じた。
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