『小さなお話』

□『あなたの優しい手』
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   私はね目が見えないから、この手で触って形を

    見るの。


  あなたの顔を見てみたいの。私の手で見ても


   いいかしら?


   「もちろんいいですよ。どうぞ、その手で


   見てください。」


   『ありがとう。』


  そう言って彼女の手が俺の顔をなでる。


  優しく暖かい手だ。今日、始めて逢ったとは


  思えない。 


  ずっと昔から知っていた。そんな気がするのは


   何故だろう?


   人間との混血?差別が大きいから、心が


    傷ついてるのね。 


  私は、あなた自身を見るわ。


  あなたはとても誠実で優しくて強い人・・・。
   
   2人出会うのが、もう少し早ければ、


        運命は違っていただろうか?


   アーダルベルト、いい人よ。


   でも、あなたとは特別なつながりがあるのよ。


    「謎めいた事を言うね。」


  私には、未来がわかるの。


  優しく微笑んでジュリアは、こう言った。


  『ねえ、今のあなたには、わからない

   だろうけど。




  魂は永遠なの。突然の別れが来ても

   また、逢えるわ。



  だから、悲しまないでね。』


   これを持って行って、あなたを必ず守るから。


  青い魔石のペンダントが、俺の首に架けられた。
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