『小さなお話』

□『あれ!?』
1ページ/1ページ

     「お〜い!お前達何してんだよ!
   こっち来いよ〜!」
   「ちょっと渋谷。誰に声かけてんだよ!あいつら、いじめっ子不良
   3人組だぞ。あいつらのせいで、酷い目にあったじゃないか。」
   「それさ〜、村田を助けようとして起こった事だよ?」
   
    さらに、大きな声を出して、交差点の向こう側にいる3人組に
   呼びかける!笑顔、いっぱいで。

   けげんな顔をして、3人組も、こっちを見る。

   「渋谷と村田だぜ。なんで俺ら何かに、笑顔で叫んでるんだ?」
   「特に渋谷にはさ、酷いことしたのにさ。」
   「行ってみるか?あんな、大声で呼ばれたら、俺らも何か恥ずかしいし。」

   信号が青に変わった。おいおい!3人組、こっちに来るぞ。
   渋谷〜どういうつもりだよ〜!

    「よし、もう大丈夫だ。」  「えっ?」


   その時、スピードをあげて車がつっこんで来た。
   今まで3人組の居た場所に。
   他には、誰も居なかったので、被害は信号機と事故車とその運転手。


   あのまま、そこに居続けてたら、大怪我!もしくは・・・命が・・・。
   あいつら真っ青だ。

   「渋谷、まさかこれを予知して俺らを呼んだんか?」
   「俺にそんなもん有る訳ないだろ!偶然だよ。偶然。でも、よかったな。
    巻き込まれなくてさ。」
   「そんなら、俺たちに何の用があったんだ?」
   「さあ、何だっけ?ごめん、忘れた。今日はさ大人しくしてろよ!
    命拾いしたんだからさ。」

   「そうだな。そうするわ。渋谷ありがとな。」

   「渋谷?分かってたのか?こうなる事。」
   「まさか。偶然。
    村田悪いけど、俺帰るわ。疲れてさ。」
   「ああ、また明日な。」


    間違いない。魔術の発動だ。地球でも使ってるんだな。
    なにも無い時に、顔色が悪い時があった。
    あの時も、そうか!使ってたんだ。

    自覚無し?そうは、思えない。

    危険だな。


    翌日の新聞に昨日の事故の記事が載っていた。

    『あれ!?』の見出し。
    事故を起こした男は、もう自分は死んだんだ、と思った。
    助けだされた時の男の第一声。

       『あれ!?』


    車は原型がわからない程壊れていた。
    それなのに男は、奇跡的に軽傷で済んでいる。
    さらに直前までそこに居た高校生らしき3人組み。

    なにもかも、奇跡的だと書かれていた。 

    間違い無く奇跡だよ。

     みんな、渋谷が助けたんだから。

     

   
   

    


                    


     
     
     

    

   

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ