『オリジナルSS』
□ショートショート
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【湖面】
密度が高い透明な世界が、足元に広がっていた。
その世界に入るには、自分の密度も変えなくてはいけない。
湖面のようにキラキラ反射する世界に触れてみた。
とたんに波紋が広がり、その世界では目に見えない流れが起きて大きく揺れていた。
友は、私の事を物好きだという。
ここにいれば、静かに過ごせるだけでなく争いもなく、欲しい物も手に入るのに、透明世界になど行ったら当分帰って来られない。
行かないで、好きな事をして過ごそうよ。
永遠に遊べるのだから。
そう言って、手を伸ばして引き留めようとしたが、私は友の手を取らなかった。
自分を小さく小さくして透明世界に入れるように小さくなった。
とても小さいから、あの世界に入る事が出来るだろう。
私は小さくなって、入って行った。
入ってみると透明では無かった。
たくさんの色があり、様々なものが動いていた。
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小さな粒が顔に当たった。
雨じゃない何だろう?
何が降って来たのかしら?
学校の帰り道、何かが落ちて来て私に当たった。
「この生物と同化しようか。それとも、別の方法を取るか。」
私の姿に似た生物の肩に座って考えた。
「同じ組成の身体がないと活動出来ない。
私の身体と、この生物の身体では、私は話すことも出来ない。
同化して分裂するしかないか。
しばらく眠りながら、その日を待つとするか。
私は、その世界に住むことになった。