連載『いつかマた!』(旧)

□『旅の一座』 10
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       俺は、泥だらけで、倒れていた所を救われていた。

    14名の旅の一座、魔族、人間、神族、様々なメンバーがいた。

    「みんな、はぐれ者なんだよ。自分の国から出て来た者や、はじき

    だされた者、でも、ここでは仲良くやってるんだよ。

    あんたは、どこの子だい?送るから、言っとくれ。」

    座長のニーナさんは、優しく俺に問いかけた。

    俺の倒れていた所は、何故か居場所を知らせるように光って

    見えたのだそうだ。

    災害は起こった後で、奇跡的に人的被害は無く、起これば直撃

    と言われていた村は無傷だった。

    土砂は村を避けるかのように、流れていた。

    魔王が事前に術者をよこして、対策をしたおかげだそうだ。

    その村で、俺の事を聞いてまわったが、該当する人物は居なかったので、

    たまたま、通りがかった俺が不幸にも巻き込まれた、と結論ずけたのだ

    そうだ。

    俺は、3日間眠り続けた、一度目が覚めたが、今度は高熱を出して

    さらに、4日程寝込んだ。

    ようやく起き上がれるようになって、自分の状況を知った。

    どこの誰ともわからない、俺の看病をずっとしてくれた。

    馬車は次の興行のために一週間、移動を続けていた。

    だが、元気になったら、どんなに遠くでも送ってやろうと

    決めていたそうだ。

  「荷物、あんたのだよ。確認しとくれ。」

    大切な青い魔石のペンダント。アニシナさんの持たせてくれた

    髪染めにコンタクト、マリのお守り、全部ある。


   「それと、あんたの服、泥だらけだったけどなんとか綺麗になったよ。

    貴族のお坊っちゃまかい?ヒモパンは庶民は、履かないからね。」

     『エ?今なんて?』

    「何を今更。大丈夫、男達に任せたから。あ〜ァ、真赤になっちゃって。 

    かわいいねェ。ついでに自覚して欲しいけど、女物の服を、今、着せてるんだよね。

    うちの男達の服は大き過ぎて、あんたには着せられなかったからさ。」


     おそるおそる、自分の姿を見る。ヴォルフラムがいつも着てる・・・・・!。





     『あァぁ〜!』


     自分の姿に、ショックで呆然としていた。

     身体がムズムズする、早く着替えたい。


     「ニーナ!」


     その時、中をのぞきこむ男、アーダルベルトよりも大きい。


    「トマス、スープを持ってきてくれたんだね。ありがとう。

    そこに置いといて。」

    「ひめ、目が覚めたんだね。よかったな。」

     ひめ?誰の事、まさか!? 俺?

    たて続けに起こる、とんでも無い事に、めまいが起こりそうだ。

    顔が、ひきつってるのではないだろうか?

    また、寝込みそうな気分。

    

    「トマス、話は後だよ。」


     「着替えて、食べたら、外へおいで。皆を紹介しよう。

     あんたの名前も、教えてもらわないとね。」


     『ユーリ、ユーリです。』


     しまった!偽名を使うつもりだったのに、素直に答えてしまった。



    
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