連載『いつかマた!』(旧)
□『命令』 6
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「ここは、危険なんです。わたし達も宿へ帰る所です。
陛下、帰りましょう。」
「ユーリの魔術なら、災害をどうにか出来る。
だから、連れて行ってくれと言われてここに来たんだ。
オイ!そんなに危険なら、コンラートに従って帰ろう!」
『そんな訳に行かない。俺はこの為に来たんだ。』
「命が危ないっていうのに、聞き分けの無い。」
語気を荒げて、コンラッドもヨザックもユーリを説得する。
時間が無い、このままゴネるようなら気絶させてでも、連れて帰るか?
わがままを、まったく言わない人なのに、こんな危険な状況なのに、
どうした事だろう?
馬を降りて、皆をかきわけて、山へ向かおうとする。
よく見ると、いつもの顔では無い。厳しい目で前方を見据えている。
「そこまで、おっしゃるなら、おれだけでもついて行きます。」
『だめだ。コンラッド。山を降り帰るのは、俺を除く全員だ。』
「さっきから、何を。おれはもう我慢も限界ですからね。
失礼してあなたを、気絶させます!」
ヨザックが素早く動く。いつもなら、彼の目的はたやすく果たせたろう。
だが、腕は、何も無い所を空しく殴っていた。
ユーリは、全員に向かって言った。
『これは命令だ。みんな、山を下れ!』
「仕方がない、俺たちはユーリと居るから、お前達、先に行け。」
コンラッド、ヨザック、ヴォルフラムは、当然のように残ろうとした。
『それは駄目だ。お前達も行くんだ。』
『王の命令は絶対だ。これは、命令だ。』