連載『いつかマた!』(旧)
□『旅立ち』 3
1ページ/1ページ
その日は、青空。気持ちがいい〜。
旅立ちには、素晴らしい日。いつもなら、静かに出発するのに、
魔王陛下が一諸に行かれるので、見送りも賑やかだ。
「陛下〜。いかがですか?髪染め薬は、すぐ染まるし、こぼれても
服にも付きませんし、 なにより私と同じ色、真赤になるのが
素敵でしょう。それに、コンタクトレンズも使い捨て出来るように
たくさん作りましたよ。」
「サンキュー!アニシナさん。助かるよ。」
「どう見ても1年分位あるように見えるぞ!おい、こんなにたくさん
持って行くだなんてどうかしてるぞ。」
「いいんだよ。アニシナさんが、せっかく作ってくれたんだから。」
うなる、ヴォルフラムを置いて見送りに来た人たちに挨拶をする。
ギュンターは、例によって汁出しまくりだ。
そんな、大騒ぎの中、クラスト・マリがユーリの元に来る。
「陛下、わたくしの魔力をこめたお守りです。
よろしければお持ち下さい。」
小さな魔石。オレンジ色。小さな巾着袋に入れてある。
「ありがとう。マリ。これは、これから必要になるからね。
大事にするよ。」
「陛下、とても危険です。それでも、行かれますか?」
『ああ〜、これは俺の使命だからね。』
「陛下〜!そろそろ出発しますよ!」
コンラッドの呼ぶ声。
しばらくのお別れだ。
眞王廟で、村田とウルリーケが祈っている。