頂いた素敵小説
□『アニメ40話→41話』
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おれはまた都合のいい夢でも見てるのかな?
おれを庇って矢に刺され、倒れてしまったコンラッドの傷を魔力を振り絞って治す。
矢には毒が塗ってあったのかコンラッドは苦しそうに呼吸を繰り返していて、
…………いつ眠りについてもおかしくない状態だった。
必死にコンラッドが離れていかないように魔力を注ぎ、傷を癒していく。
「あなたは十分にやったわ。もう、帰ってきていいのよ?」
「……っ…………分かりました…」
ツェリ様がコンラッドにそう問いかけると、彼は涙をながしながら帰ってくると言った。
コンラッドがそう答えると同時に治癒の浸透が奥まで進み、毒素を消すことができた。
「……っ、本当に……本当に今度こそ帰ってきてくれるんだな?」
「………はい…。だからユーリ、泣かないでください………」
「……っ、泣いてないよ」
2人でほのぼのとしていると周りのみんなが咳払いなどをして注意を促してきた。
「〜っ、ユーリ!!コンラッドと何を見つめ合って微笑んでるんだ!!!この浮気者〜っ!!」
「べ、別に見つめ合ってないってばっ……。
ほら、コンラッドの傷も大分癒えたみたいだしさみんなで帰ろうぜ?」
「そうですね、そろそろ暗くなってきましたし……今日は私どもの城に泊まっていってください」
「うん。ありがとう、ライラさん」
結局暗くなったのでお城に泊めてもらう事になり、それぞれののってきた物に戻っていく。
―………しかし。
「ユーリッ!?」
「…………ぁ、あれ?」
馬車に乗り込もうとしたとき、
目の前がクラッとしたかと思うとそのままおれはブラックアウトしてしまった。
少し離れた所からコンラッドの声が聞こえた気がする。
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夢の中でコンラッドがおれの側から離れていく夢を見たんだ。
「すいません、ユーリ。やっぱり俺はあなたのそばには居られない………」
「え?何言ってんだよ、みんなの前で帰るって言っただろ!?」
「ですが、俺はもう決めたんです。………さようなら、ユーリ」
「ちょっ、コ……コンラッドっ!!!!!」
目が覚めたときには冷や汗と涙が流れていて。
急に昨日あったことは夢だったんじゃないかって考えが頭に浮かんで。
おれはドアを開けて確かめに行こうと外に出ようとした。
「うわっ!?」
「そんな格好でどこへいくつもりだ?」
ドアを開けて1歩進んだ瞬間、グウェンダルとぶつかってしまった。
相変わらず不機嫌そうな顔で聞いてくる。
後ろにはヴォルフラムやギュンターもいた。
だけど、その後ろには彼は居なくて………。
もしかしてやっぱり夢だったのかと思いグウェンダル達に問いかけた。
「なぁ、コンラッドは?コンラッドはどこにいるんだよっ?」
慌てているおれを宥めようとグウェンダルは腰を低くし、
おれと同じ目線になり優しく答えてくれた。
「心配することはない。あいつなら傷も大分治って元気にしている」
「…………そっか、良かっ、た………」
安心した瞬間足から力が抜けて思わず座り込みそうになるのをグウェンダルが支えてくれた。
「陛下はまだ寝てらしてください。
魔力を大分消費されましたからまだ疲れているでしょう…………」
「まったく、自分の体調管理も出来ないなんてさすがへなちょこだな!」
「へなちょこゆーなっ!!!」
それから、食事を取ったり、ギーゼラさんの診察をうけたりして元気を取り戻したおれは
眞魔国と同盟を結んでくれる国との会談に出たりして忙しかった。
コンラッドが地下牢に入って色々とあったのはまた別の話………。