頂いた素敵小説
□『愉快な渋谷兄弟』
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回転イスを回して向き合うと、勝利は勢いよく
持っていた雑誌を目の前に押しつけてきた。
待って、読めない。
近すぎて読めないから!
改めて見てみると、
何の変哲もない通販の
カタログだ。
「…これが何?」
「ここを見てみろ」
骨張った指が、トントンと軽い音を鳴らしながら示した商品。
『サンタワンピース』。
細身の女性が冬限定の
サンタコスチュームを
身に纏い、こちらにポーズを決めている。
短いスカートから伸びる細い足と、腰がセクシー。
「ゆーちゃん着てくれ。
お兄ちゃんの一生じゃないお願いv」
「着ねーよっ」
しかも『一生じゃない』のか!?
これ以上、どんな無謀な願いをする気なのか恐ろしい。
しかし、それに勝る問題点発覚。
サイズが明記されていてないのだ。嬉しいフリーサイズだろうか?
バカ兄貴を部屋から追い出したのも束の間、
今度は母親が同じカタログを片手に部屋へと
やって来るのだった。
Merry Christmas! 2007