頂いた素敵小説
□『星の逢瀬』
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『星の逢瀬』 ユーリバージョン
「さぁさぁのぉはぁ〜さぁっらさらぁ〜〜〜〜〜♪」
二階で宿題と格闘をしている俺の耳にお袋のいい調子の声が届く。
その歌でハッとして・・・俺は机の傍らの壁にかけられている贔屓野球チームのファンクラブ御用達カレンダーに目を向ける。
そうか・・・今日は7月7日・・・七夕だった。
織姫さまと彦星様が一年に一度の逢瀬を楽しむ・・・所謂デート日
でも雨が降ってしまうと二人の間を流れる天の川を二人の橋渡しをする鷺が渡れず・・・
二人のデートはその場でぽしゃってしまう。
小さい頃幼稚園で七夕の話を聞いてみんなで七夕飾りを作ったっけ・・・
『二人が会えるようにみんなで短冊にお願い事を書いてお祈りしましょうね』
先生の話に俺は「おりひめさまとひこぼしさまが会えますように」と真剣に短冊にお日様の絵を描いて・・・
(当時ひらがなすらまともに書けなかった)
にっこりと笑った先生に頭をなでられた覚えがある。
ところが・・・俺の思いとは裏腹に・・・その年の七夕は見事朝から土砂降りで・・・
俺は『おりひめさまとひこぼしさまが会えない』と大泣きをしてお袋達を困らせた・・・
「ゆーちゃんは本当に小さな頃から優しくて正義の味方だったものね〜」
と笑うお袋に
“そんなの正義の味方でもなんでもない”と少しばかり大きくなった頃ふて腐れた。
何故か七夕は雨の記憶ばかりだ・・・
しょうがないといえばしょうがないといえなくもない。
何せこの時期は日本全国雨の大安売りとばかりの梅雨の真っ只中。
そんな暦で晴天な方がおかしいって・・・
(本来の七夕は旧暦で祝うものだということを知ったのは
ごく最近・・・・確かに旧暦の7月7日なら梅雨はしっかりと明けてるな)
「ゆーちゃぁ〜〜〜〜ん。一緒に短冊を飾りましょうよ♪」
階下から呼ぶお袋の声に
「宿題やるからやんねぇ〜!」と叫び返し、ふと窓の外を見た。