幼稚園

□遊び相手
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秀吉の隣にはいつも半兵衛がいた。
まさしく、秀吉の行くところに半兵衛有りだ。

着いて来てくれるのは嬉しい。

だが、秀吉はこのことである悩みを抱えていた。


「ひでよし、いっしょに遊ばないかい?」


慶次が声をかけてきた。

秀吉にとっては願ってもない誘い。

が…


「あ「なにを言っているんだい、けいじくん?ひでよしが君なんかと遊ぶはずがないだろう」


秀吉が頷こうとしたのを遮ったのは半兵衛だ。


「ひでよしはそんなこと言ってねぇじゃねぇか」

「そう「そんなの聞かなくってもわかりきっていることさ」


またもや半兵衛に遮られた。


「ひでよし、なんか言ってやれよ!!」

「はんべ「君と話していてもらちがあかない。行こう、ひでよし」

「うむ…」

秀吉は半兵衛にそう言われ、頷くしかなかった。

そう…秀吉の悩みとはいつも半兵衛が遊びの誘いを断ってしまい、他の子と遊んだことがないのだ。
秀吉自体、自分から誘おうとしないのにも問題はあるが…。


「この絵本おもしろいんだ。ひでよしも読むかい?このどげざしているばめんなんてさいこうだよ」


将来性が疑われるような発言である。


「よいのか?」

「あたりまえだよ、ひでよし。」


半兵衛は秀吉に絵本を渡した。

そんなところに通りかかったのが明智先生だ。


「おや、秀吉君と半兵衛君はみんなのところに行かないのですか?砂場の方にいるみたいですけど…」


光秀は今までこの二人が他の子と遊んでいるのを見たことがなかった。

いや…光秀の記憶によると半兵衛は何気に他の人と遊んでいる。
というか、話していると言った方がいいのだろう。
特に元就とは気が合うらしい。

だが、秀吉はどうだ?

慶次とたまに話しているくらいで、ほとんどが半兵衛と一緒にいる。

光秀としてもこれは気になっていた。

「ぼくらはあんなやつらと遊ばないよ」

「何故ですか?」

「ひでよしはかくがちがうんだ」

「なるほど。ですが…それは残念ですねぇ」


光秀はわざとらしく残念そうにした。


「ざんねん?」

「えぇ、今なら砂場で慶次君が秀吉君のブロマイドを売ってるらしいのですが…行かないのならしょうがないですよね?」


勿論嘘である。


「なっ!?ぼくも行ってくる!!」


あっさり騙された半兵衛は慌てて砂場の方へ走って行った。


「クックックッ。さぁ、秀吉君も行って来なさい」

「う、うむ」


秀吉は少し嬉しそうに半兵衛の後を追った。










(けいじ君!!ひでよしのブロマイドは!?)

(えぇっ!?)

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