幼稚園

□巻き添え
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小鳥がさえずる朝。

風林火山幼稚園の庭園で近所迷惑ともとれる叫び声が聞こえた。


「ぅえんちょぉぉせんせぇぇぇぇ!!!」


−ポスッ


「ゆぅきぃむぅぅらぁぁぁぁ!!!」


−ドゴォォォ


「ごほっ!?………ぅえぇぇんちょぉぉせんせぇぇぇぇ!!!」


−ポスッ


「ゆぅぅきぃぃむぅぅぅらぁぁぁぁ!!!」


−ドゴォォォォ


武田信玄こと風林火山幼稚園の園長とその園児、真田幸村の殴り愛による朝の挨拶である。

二人の一日はここから始まると言っても過言ではない。

そんな様子を少し遠くから眺めているのが猿飛佐助である。


「はぁ〜、あの二人またやってるよ。よく飽きないねぇ」


彼は幸村と同じく幼児だというのに何故かオカンというポジションを与えられている。


「さすけェェェ!!さすけもいっしょにやらぬかぁぁぁ?」


幸村は佐助に気づくと殴り愛に佐助を誘った。


「いや〜、おれさままだいのちおしいし止めとくよ…えんちょう先生てかげんってことば知らないんだもん」


そう、園長先生との殴り愛は半端ではない。
相手が園児だろうがなんだろうが手加減は無用だ。


「遠慮するでないぞ佐助!!」

「そうでござる!!さすけもきっとえんちょう先生とわかりあえるでござるよ!!!」

「いや、わかりあうまえにしんじゃうから…」


そんな佐助のツッコミも無視し、幸村がものすごいスピードで佐助の方へ走り出した。

勿論、止まるつもりはさらさらない。


「さぁぁすぅぅけぇぇぇぇ!!!」

「えっ…ちょ、さなだのだんな!?」


−バキッ


「グハァッ…」


佐助は幸村に思いっきり殴られた。


「…ってぇ…何すん「さぁぁぁすぅぅぅけぇぇぇぇ!!!」


佐助の声を遮ったのは園長先生だ。

幸村より激しい勢いで佐助の方へ走ってくる。


−ドゴォォォォ


「うそだろぉぉぉ!?」


佐助と殴り愛をした二人は満足そうな様子で幼稚園の中に入って行った。









(おれさまいっぽうてきになぐられただけなんですけど…)

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