瀬戸内

□君にあげる
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たんぽぽの花占いを阻止した(と言えるのか微妙)直後だった。

元就の目に、政宗に手を振る元親の姿が写った。
政宗はどこかへいってしまったが、元就にとってそれはどうでもよいことだった。

問題は元親である。


「貴様も何をしておる…!!」

「あ?たんぽぽで冠をだなぁ…」

「即刻止めぬか!!」


たんぽぽで冠など、慶次より悪い。

冠なんて、たんぽぽをいくつ使うと思っているんだ。


「あとちょっとだから待ってろよ」

「貴様…我の言葉が理解出来ぬのか?」

「わかってるって。お前がたんぽぽ好きなこともな」

「知っているなら何故…」

「ほら、出来たぜ」

「何を、」


出来たと言って微笑む元親は、たんぽぽで作った冠を元就の頭に乗せた。

突然の出来事に、元就はきょとんとして止まってしまった。


「おぉ!似合うじゃねぇか!」

「…こ…このようなことで我が喜ぶとでも思うたか…!!」

「思ったからやったんじゃねぇか」

「……」


元親があまりに素直に答えるものだから、元就は何と返してよいのかわからず、下を向いてしまった。


「…嫌、だったか?」


元親が照れ臭そうにそっと元就の顔を覗き込む。


「……嫌…、ではない…」

「元就ィィィィ!!」


元親は元就に抱き着いた。
が、すぐ突き放された。


「離せ!それは嫌だ!!」




(がーん)










君にあげる




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