瀬戸内

□瀬戸の節分
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「よぉ、元就」

元就はその声を聞くなり眉間にしわを寄せた。
何時もはここで罵声の一つや二つ浴びせてやるのだが…。
今日は特別だ。

「…よく来た長曾我部よ」

「ん、今日はやけに気前がいいじゃねぇか。何かあったか?」

そんな元就に元親も疑問を覚えた。
今までこんなにすんなりと部屋に入れたことがあっただろうか。
いや、絶対なかった。

「貴様…今日が何の日か知らぬわけではあるまい」

「今日……!?」

元親は少し考えるとはっとしたように思い出した。
今日は節分。
豆撒をする日だ。
同時にどうして元就が自分をすんなり通したのかも合点がいった。

「貴様は何時も鬼を名乗っているのだ。勿論それは今日も変わるまい」

元就はそれはもう不敵に笑っていた。
どこから取り出したのか豆の準備も万端だ。

「待て、元就…!それとこれとは話が別…」

元就は元親の言葉を遮るようにじりじりと詰め寄った。
そして、掛け声と共に元親に向かって豆を投げつける。

「鬼は外!…寧ろ死ね!!」

「ちょ…地味にいてぇし…!鬼は内ってあるのも知らねぇのかよ!?」

「知らん。我の辞書には鬼は死だ」

「俺に死ねってか!?くっ…やられっぱなしでいられるかよ…!」

元親は転がっていた豆を掴むと元就に向かって思いっきり投げつけた。
それは見事に命中し。

「貴様よくも…!」

さらなる攻防戦を展開させた。



それは二人の息が切れるまで続いたとか続かなかったとか。












節分=俺の日

「…片付けろ長曾我部」
「何で俺!?」


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