瀬戸内
□二人の願い
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「元就はなんてお願いしたんだぁ?」
それは二人しておまいりを済ませた帰り道のことだった。
元親が突然そんなことを聞いてきた。
「…秘密だ」
「俺は…元就とずっと一緒にいれますようにってお願いしたぜ!」
「……!」
驚いた。
元親の願いは我と全く同じ願いだったのだ。
「ん、どうした?」
「…いや、何でもない」
「そうか。で、元就はどうなんだよ?」
元親は我の願いをどうしても聞きたいらしい。
「…日輪が…今年も我を加護してくれますように、と」
それはとっさに出た嘘だった。
同じだなどと言ったら元親が絶対調子に乗るだろうから。
それに何より我が恥ずかしい。
「俺…日輪に負けた…」
「そんなことよりさっさと帰って餅を食うぞ」
あからさまにがっかりしていたので手を繋いでやった。
というより急かすように引っ張った。
「…おぅ…!!」
元親は一瞬驚いた顔をしたものの嬉しそうに返事を返した。
それを見て単純だなと少し笑いそうになる。
どうかこの幸せが終わりませんように、
何時までも元親と共に…
君と幸せ
(二人の願いが一緒なら叶ったも同然だ)
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