瀬戸内

□生の代償
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※痛い



俺と元就の連合軍は、豊臣軍と水上でまみえた。
天候の悪化で勝敗は付かぬまま、両者陸へと引き上げた。


「…痛むか」

「あぁ…痛ぇよ」

「そうであろうな」


元就が俺の腕に包帯を巻いてくれていた。
俺はただその姿を見ている。
彼の指先は女のそれより細長く、整っていて美しい。


「…なぁ、俺はこれからどうすりゃいいんだ」

「今まで通り振る舞えばよい」

「今まで通り、か」


それはできないと思う。
いくら今までのように振る舞おうと、子分達が俺に気を使わないわけがない。
無駄な心配をかけるだけだ。
だって、




腕を一本無くしたのだから。




「俺はもう、戦えねぇ…」


それが何よりも悔しかった。


「嘘を申せ。腕はもう一本あるではないか。それに…」


元就は天井を仰ぎ見た。
どんな角度から見ても元就は美しいだろうと俺は思っていたが、やはり美しかった。


「それに、死んだ訳ではないのだ。不幸中の幸いというやつであろう」


顔をこちらに戻した元就の瞳が、切なげに揺れた。
その瞬間、生きててよかったと思った。
この隣にいる麗しい御仁は、心配してくれていたのだ。

腕なんかなくても、こうやって元就と会話ができるだけ俺は幸せだと思った。





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腕一本無くしたら大量出血で死ぬ気がしなくもない。

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